オレンジ色の空に恋して

オレンジ色の空に恋して3 ページ3

【yuta side】







『Aちゃんに言われたのよ

うーたには言わないで欲しいって

言ったら絶対心配するからって』









『でも、さすがにもう３年も経ったしね』









耳にした言葉
全部が信じられなくて

両手で顔を拭うようにおさえた









裕太「結婚なくなったのに

１人でニューヨークとかも

意味わかんねーし」









『それは

逆に１人になりたいからでしょう

結婚もダメになって

その前に仕事もやめちゃったみたいだし

Aちゃんのご両親は

こんな状態で１人にさせられないって

かなり反対したみたいだけれど

私はAちゃんの気持ち

わかるかなって思ったな』









『Aちゃんて

昔からすごい”お姉ちゃん”って

感じで責任感も強いから

自分のせいで

誰かが悲しんだり、傷ついたり

悩んだり、苦しんだりするの

嫌だったんじゃないかな？

裕も含めてね』









最後に見せたAの笑顔が
すぐに思い浮かんだ









裕太「まだニューヨークにいるのは

確実なの？」









『それは間違いないと思う

Aちゃんのママが

Aが全然帰ってこないって

会うたびに言ってるから』









『元々いた会社の人の繋がりで

あっちでも雑誌の仕事

してるらしくて

それだけは運がよかったって

Aちゃんのママが言ってた』









・









・









帰りの車内では
もちろんAの事しか
考えられなかった









Aと連絡を
取り合わなくなって
もう８年近く経過している









５年目に再会して
お互いに笑顔で別れたあの日からも









心のどこかにはずっとAがいた









きれいな夕焼け空見れば
あの日２人で見た景色を思い出して









Aの誕生日






Aが作ってた雑誌






コンビニのピザまん






運転中にかけるサングラス





ドライブがてら訪れる夜の海





宮田と二人で食べる鍋





相変わらず怪しいAのバイト先






初詣に行ってた神社







もう入ることさえ出来ないあの公園









こんな風に連絡を
取ってなくても
Aを思い出す
要素はいくらでもあった









ただ不思議な事に

だから会いたいとか

連絡を取りたいなんて

思った事は１度もなくて









ただただ懐かしむ気持ちと
元気でいてくれればいい
それだけだった

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