無口な彼女 [hiromitsu.k]

Chapter09 彼の彼女 ページ10

スマホの操作は続き







途中から乗る人もいなく








無言のまま無事に１階に到着







その時には振り返り笑顔で






「どうぞー」







その言葉に頭を下げ降りると









彼はそのまま地下の駐車場へ降りて行った








ここが出会いとするならば
その日はもうすぐ１年が
終わる年の瀬だった。









その日からは外に出る時は
少し慎重になりながら
ドアを開ける生活









もともと１年中『冬眠』状態の私が
次に彼の気配を感じるまでには
またしばらく時間があいた








それはバレンタインデーという
私には無縁すぎる日の早朝








またまた徹夜で小説を書き続け








３日ぶりに出た外の世界









ブランドのオンラインストアで買った
基礎化粧品を受け取りに
宅配BOXに向かう為待っていたエレベーター








ガチャッ







うわっ。









『なんでわかってくれないのっ？』








突然聞こえた女の声に
思わず振り返ると








隣の家のドアが半分程開いていて
そこから見える女の姿







彼女はドアから半分体を出しつつも
視線は部屋を向いていて
私には気づいていない








『そうやっていっつもチャラチャラして』








『どうせ他にも女いるんでしょ？』








『もういい帰るから』









隣人の声はよく聞こえないけれど
揉めている事は一目瞭然









早朝から出くわした隣人の修羅場








固まる私









修羅場にではない・・・・・







目の前にいる女の人は







これから私が受け取りに行く商品の
広告で見かける有名な女優だったから







そして次の瞬間その女と目が合う







彼女も私と目が合い大きな目が
さらに大きくなった









・・・動けない









これが女優の眼力なのか








・・・・恐るべし









でもすぐに彼女は私の視界から消えた









ドアが閉まって








再びシーンとする廊下








ウィーン








エレベーターのドアが開く音で我に返った









乗り込んで１階のボタンを押す









そして聞き覚えのある男の声で








「ちょっと待って！」








その言葉にビクッとし咄嗟に押した








『閉』のボタン









少し連打気味に押す








・・・・・。









・・・・・。








セーーーーフ！！

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