無口な彼女 [hiromitsu.k]

Chapter32 壁一枚 ページ33

マルが小さなため息を一つ









マル「ちゃんとそうじゃないですよ

って教えてあげないからでしょ(笑)？」









A「だって・・・なんか

一生懸命、私の為にやってくれてるのに

なんか悪いなって思って・・・」









マル「文通も結局そういう事じゃないの？」









マル「あっおでこだいぶ治ったじゃん！」









A「でしょ(笑)？」








それからいつも通りくだらない話をし

いつも通りの完璧な仕上がりで

帰ったマンション









自分の部屋のドアを見て
返事を書かなきゃと思い出す








とりあえず体だけシャワーを浴びて








ビールと便箋セットと
シートを持ってバルコニーに出た









プシュッ









ぷはーーーっ









なんて書こうかな？

　
　
　
　

　
　
　
　







『リカさん？』









思わず後ろを振り返る








バルコニーにも
そこから見えるリビングにも
もちろん誰もいない









『こんばんはー』









後ろじゃない！









パーテーションの向こう！








今更ながら可能な限りに
自分の気配を消す








1ミリも動けない








『・・・・・あれ？

リカさん？』








その時動いていないと
思っていたはずだったのに







カタッと鳴った椅子の音









・・・・もう逃げられない








A「・・・こんばんは」







北山「あぁよかった(笑)

一瞬、空耳で聞こえたのかと思った(笑)」







A「・・・・」








北山「ビール？」







A「はい」







北山「あっじゃーかんぱーい」







パーテーション何かあたる音








それが何かがわかったから
私もビール缶をパーテーションぶつけた









北山「ははっ(笑)

なんかおもしろいね(笑)」









A「そうですね」









北山「んーーーー

でも今日も過ごしやすい夜だね」








A「そうですね」







北山「おでこは？どうなった？」









A「色はだいぶ薄くなりました」









北山「そっか・・・よかった」









A「・・・あのっ

・・・・あの時はすいませんでした

急に玄関の前に立ってたりして」









北山「あー確かにびっくりしたけど

でも俺もあの時ちょうど

リカさんの家行こうと思ってて」









北山「指輪でしょ？

指輪取りに来たんだよね？」









A「・・・はい」

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