好きって言わない ［yuta_t］

Chapter47 初めて ページ48

A「いえ・・・

どっちも"なし"です」









この質問も躊躇せずに
答えられるようになった









誰かに裕太の事を伝えても
その後どうやって話せばいいかわからない








いつから？
どんな人？
告白しないの？









答えられない事が多すぎて
答えるには時間が必要で
自分でさえよくわからない事も多い









大体の事を知ってるミワも
それをわかってくれてるからこそ
あえて何も言ったりしなかった









キャンプに来て
すっかり忘れていた裕太の事









あぁ結局、最後の最後には
思い出してしまうんだな




　
　
　
　






テントにみんなの寝息が
聞こえはじめた頃









裕太の事を思い出したせいか
慣れない場所のせいか
なかなか寝つけず









・・・トイレ行きたい









少し離れたところにある
トイレの建物を思い出すと
恐怖心が勝り
私の足を躊躇させていた









・・・どうしよう









隣のミワを起こすには
残酷に感じるくらい
気持ち良さそうな寝顔









・・・仕方ない１人で行くか









懐中電灯を持ち
そーっと抜け出して









えーっとキャンプファイヤーの
ところからまわればいいのか・・・









あれ？まだ火ついてる。









テントの群れを抜け
その場に出ると









一斉に向かってきた視線の数々









いつもの３人の先輩と一緒に
他の男の先輩が２人
小さくなったキャンプファイヤーの前に
椅子を並べ座っていた









サク「Aちゃんどうしたの？」









A「・・・ちょっとお手洗いに(笑)」









立ち上がり
私に向かって歩いてくるサク先輩









サク「じゃー一緒に行こ？」









A「え？あっ

大丈夫です一人で」









サク「ダメだよ！

女の子なんだから

俺もちょうど行きたかったし！

ほら行くよ！」









私の手から奪われた懐中電灯









先輩はいつものように
私を笑わせ
恐怖心なんて感じる間もなく
トイレに着いた







　
　
　







トイレから出てると
両手をぶんぶん振って
手の水を振り切ってる先輩の姿









・・・・ふふっ









A「先輩・・・

よかったらどうぞ」









サク「おっサンキュー

さすが女の子」









クシャッと笑うその姿に
裕太以外の人に初めて
ドキッと体が反応した

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