好きって言わない ［yuta_t］

Chapter42 接客 ページ43

裕太は水を飲むこともなく
メニューを見るわけでもなく
ただ前を向いて座っていた









ただでさえ静かなこの店が
さらに静寂に包まれる









裕太「あのさ・・・」









A「注文は？」









裕太はメニューも見ずに









裕太「・・・カフェオレ」









A「ありません」









え？という顔つきで
私を見上げた裕太









裕太「じゃーカフェラテ」









A「ありません」









また私を見る









裕太「オレンジジュース」









A「ありません」









裕太「あーっもう！

じゃー烏龍茶！そんくらいあんだろ？」









A「ありません」









その答えにあきらかに
ムカついた顔で私を見上げた









裕太「・・・アイスティー」









A「ありません」







裕太「ミルクティー！

レモンティー！

アップルティー！

ピーチティー！」









A「ありませんっ」









裕太「コー・・・・」









A「ありません」









流れで絶対にコーラと
言うと思った私
顔色一つ変えずに返す









嘘をついてるわけでも
意地悪してるわけでもなく









純子ママがこの時間帯は
売りがないと言ったように
ホットとアイスのコーヒーか
パイナップルジュースしかない








メニューにはちゃんと書いてある









裕太「は？コーヒーもないわけ？」









・・・コーラじゃないの？

コーヒー？









A「・・・飲めないじゃん」









裕太「子供の頃からさ

ずーっとこの店謎だったけど

これじゃー客入らないよな

おまけにこんな店員じゃ」









A「失礼な！

この時間だけだもん！

ランチだって夜だって

大繁盛してるんだから！」






　
　
　
　






裕太「・・・ふっ(笑)」









笑顔はすぐ消え
髪の毛をくしゃくしゃしながら









裕太「あーっ！違う！」









裕太「ケンカしに来たんじゃない」









頭を下げた裕太









裕太「いろいろ・・・

ごめんなさい」









裕太「やっぱさ

Aいないとつまんねーんだわ」








・・・。









ダメだよ・・・喜ばない









・・・喜んでたまるものか









A「髪！明るすぎ！」









裕太「A？」









裕太「許せない？」









・・・やっぱダメ









首を横に振った

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