好きって言わない ［yuta_t］

Chapter34 見えない壁 ページ35

高校３年生。春。







進学校だけあって２年のはじめに
もしくはもっと前から
志望校を決めてる人も多い中
私も少し遅れて絞った志望校









現役、浪人も含めると
学年の半数以上が
六大学と呼ばれる大学を
その他は大抵地方の国公立や医大を目指す








最後のクラス替えでは
ミワとガクと同じクラスになった









バレンタイン以降も
裕太から変わらず
メールが来たり
ばったり会ったり・・・









でも裕太との間に
自ら少しずつ作り始めた壁









今は受験の事だけ考えたい
そういう思いと
いつか起こりうるその日の為に
覚悟を始めていたせいかもしれない





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高校３年生。夏。









意外と早くその日はやってきた









いや、出会った年数で考えると
長かったのかもしれない









変装も特にはしてなかった

身長も伸びた

でもそのせいだけじゃない








私は裕太を見つけるのが
誰より得意な気がする









人混みに紛れる裕太を
見つけた乗り換え先の駅









その横にはあの時見かけた女の子









２人は見つめ合い









私には見せないような笑顔で









裕太は笑っていた









東京の人口で考えると
この光景に遭遇する確率は
一体どのくらいなんだろう





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高校３年生。秋。








私からは特に何も言わなかった









この前女の子と歩いてるの見たよ？








彼女？









なんて聞けるほど強くない









家族が寝静まった家で
一人勉強しながら向かう机









・・・ダメだ









・・・お腹すいた









どうしても甘いものが食べたい









机の上のチョコレートの箱が
空っぽなのは１時間前に確認済









時間はちょうど
日付が変わったところ









・・・買いに行こ









部屋着にコートを羽織って
財布だけ持って向ったコンビニ









チョコ・・・

チョコ・・・








どれにしよう？








やっぱりこれだな








伸ばした手より早く









後ろから伸びる手がその箱を掴む









もう振り向かなくてもわかる









裕太「こんな時間にチョコ？」









A「こんな時間に制服？」









もう一度棚に手を伸ばし
チョコの箱を持ってレジに向かった









当たり前のように
コンビニ出ると裕太がいた

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