好きって言わない ［yuta_t］

Chapter33 嫌い ページ34

A「何でも？上限なし？」









裕太「なし！なし！(笑)」









A「いいよ(笑)」









手を差出され









ハイタッチをして









ポケットに手をしまおうとした
裕太の手が何かにあたって









ガサッ









A「あー・・・

うーた落ちちゃったよ？」









落ちたのは小ぶりの紙袋









それがすぐに何だかわかった





　
　
　
　








私も昨日作ったから









キュッっと傷んだ胸









それを悟られないように作った笑顔









A「あーっ？

もしかしてチョコ？

今年もファンの子から貰ったの？」









今となっては
こんな事聞かなければよかった
後悔はすぐに訪れるのだから









裕太「なんかさっき

クラスの女の子からいきなり

呼び出されて

・・・告白された」









裕太「・・・正直びびったわ」









びっくりしすぎて
今すぐ消えたい人が
目の前にいるよ








A「そうなんだ」









裕太「なんか、俺の事を好きだとか

今まで感じたことなかったし

明日から気まずい」









私の好きには？









A「・・・。」









裕太「Aは？」









A「ん？」









裕太「Aは誰かに

チョコあげないの？」









裕太「もしかしてもうあげた？」









初めて・・・









裕太の事を嫌だって思った









好きって伝えたくて
チョコレート作って
そんな自分を勝手にバカにされた気分になって
本当にやつあたりもいいとこ









でもそれ以上に
こんな自分が大嫌い









A「あげてないし

あげる予定もないよ」









A「ってもう

バレンタインにうーたの

前にいるんだから

そのくらいわかるでしょ？」









私なりの精一杯の嫌味









A「そろそろ帰らなくちゃ

これから家庭教師だし

これうーたのママにお礼言っといて」









裕太「・・・わかった」









A「じゃーね」









今日なら









今日なら言えるんじゃないかと思ってた









でもそんな事出来ないって









しちゃダメなんだって









自分が一番よくわかってたはずなのに









約束したんだから









決めたんだから









好きって言わないって









行き場を失った私の気持ちは
コンビニのゴミ箱に捨てた

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