好きって言わない ［yuta_t］

Chapter20 なくなった距離 ページ21

その言葉に








A「へっ？」









まぬけな返事をした私と
裕太の視線がぶつかって








でも裕太の顔はやっぱりマジメで









裕太「俺とキス」








ここで完全に
私の思考回路は停止した









固まる私にどんどん
近づく裕太の顔









そして唇が触れそうになる寸前で








裕太が止まった








裕太「・・・やだ？」









私と裕太の目と目の距離








わずか５センチ








覗き込むように
まっすぐ見つめる裕太に
すべてバレてしまうのが怖くて






　
　
　
　
　
　
　


そっと目を閉じた
　
　
　
　
　
　









そして裕太の唇が

私の唇に重なった









初めてのキス








大好きな人とのキス









・・・。









わずか数秒の出来事









裕太の唇が離れていくのを感じ









そーっと開けた目









裕太「やばい。照れる。」









その一言で
カーッっと熱くなった顔









A「だからっ

いいよって言ってないのに」









前髪をくしゃっと掴み
わしゃわしゃされて









A「やめてよっ」









前髪を手で戻しながら
照れた顔を隠した









そんな私にふって
また優しい顔で笑って









裕太「・・・食べ終わったんでしょ？

遅くなったし送ってく」






　
　
　
　






家に着くまでは
ほとんど話さなかった









裕太「じゃー」









A「うん。じゃあね

送ってくれてありがと」









裕太「ん・・・じゃーな」









家に入るふりして
こっそり見つめた裕太の後ろ姿









・・・あっ。









今年もお世話になりましたって
言うの忘れた









・・・ま、いっか。









次会った時に
今年もよろしくお願いしますって言えば









ふわふわした気持ちのまま家に入った




　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　






どうしてキスしたの？








好きでもないのに何でキスしたの？









あの時私がもっと
大人だったら聞けてたのかな？









聞いてたら私達
何か変わっていたのかな？






　
　
　




あの日私が好きだと言ったら



　
　
　
　
　
　
　
　
　
　




何か変わっていたのかな？







　
　





でも私には出来なかった









好きって言うより








失うのが怖かったから








言えなかったんだ

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