好きって言わない ［yuta_t］

Chapter01 出会い ページ2

中学1年生。春。









真新しい制服に袖を通し姿勢を正す









鏡の中のまだ見慣れない自分が
少しくすぐったい









桜の花はとっくに散り
葉桜になった木々の間から
時折眩しい太陽の光が差し込む
新しい通学路









見渡せばちらほらと見慣れた顔









そんな中、目の前を歩く男の子に









私の視線は奪われる









時折見せる笑った横顔









少し大きめの学ラン









眩しかったのは太陽のせい？









それとも・・・







　
　
　
　
　







入学式から数日後









ホノカ「おはよー！

あっAのポーチかわいい！」









そう言って目の前の席に座った
小学校からの親友ホノカ









A「おはよう！

昨日プラザで買ったの！」









ホノカ「すっごいかわいい！

色もAっぽいし」









A「何色かあったんだけど

私も自分はこの色だなって思って」









あっ・・









ホノカの後ろに立った人









A「ホノカ！席！」









私の視線の先に
ホノカが振り返って









ホノカ「あっごめん！

えーっと・・・玉森くん」









空けた席に会釈をしながら
座ろうとした彼に









ホノカ「おはよう玉森くん」









その声に玉森くんは
「おはよ」とぼそっと言った









入学式の日見つけた後ろ姿は
偶然にも今も私の目の前にあった









少しずつ制服姿の自分にも
見慣れて来た頃









休み時間になると
私の横にはホノカ
玉森くんの横には
同じクラスの川瀬ガクくん
そうやって過ごす事が増えた









私達が仲良くなり始めたきっかけは
ホノカと川瀬くんが話し出して
いつしか4人で話すようになった









明るくて社交的なホノカと川瀬くん









どちらかいうと自分の話をするよりも
聞くのが得意な私と玉森くん









どんどん仲良くなる
２人とは対照的に
私と玉森くんの距離は
なかなか縮まらなかった









いつしか２人は
『ホノカ』と『ガク』と呼び合い始め









それに比べて私は『玉森くん』のまま









玉森くんも私を名字で呼ぶ









そんな距離





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中学1年生。夏。








梅雨があけて例年より少し早く
東京の夏が始まった









週末に勉強会と称して
泊まりに来たホノカが









『ガクの事をが好きになっちゃった』

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