Chapter101 夏の匂い ページ7
もしも私が
勝負に勝っていたら
なんて言ったんだろう
咄嗟の申し出に
そんな事を考える
余裕もなかったけど
改めて考え直しても
もしも裕太に負けて
裕太の言う事が
また私を遠ざけるような
一言だったらって考えると
きっと今日会った事を
簡単に勝負しようなんて言った事を
一生後悔してしまいそうで怖くなって
だから自分の望みなんて
何も思い浮かばなかった
でもはっきりとわかるのは
もしも私が勝ったとしても
裕太との距離を縮めたいと願うような事は
絶対言わなかった
それだけは確かだった
そんな事を少し前を歩く
裕太の背中を見ながら考えてた
海風でひらひら揺れる
ボーダーのスカートにも
ビルケンの白いサンダルにも
BLACKのＴシャツにも
たくさん夏の匂いがまとわりついて
離なれないのに
私と裕太の距離は
やっぱり縮まる事はなかった
裕太のパーカーに身を包まれながら
裕太を感じる
それが今の私と裕太の距離で
それが精一杯だった
帰り道
車に流れる音楽を聞きながら
窓からどんどん過ぎていく
街灯をぼんやり見つめ
ほとんど話さなかったのは
もしかしたら
"また次がある"
久しぶりに感じた
そんな安心感からかもしれない
帰りは家の前まで送ってもらい
裕太「シカトは絶対にやめろよ」
もう一度念を押されてから
裕太の車は発進した
角を曲がるまで見送って
エントランスの
ガラス扉に映った自分を見て
パーカーを返し忘れた事に気づいた
部屋に入って
ハンガーにかけたパーカーを
適当な場所にひっかけて
そのパーカーを見ながら
ついに会っちゃった・・・
今更ながら実感したんだ
Chapter102 久しぶりの三人→←Chapter100 暖かい闇
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1036人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あき(プロフ) - 切ない切ない(;_;)好きって言いましょって思っちゃうんですー！ (2016年3月21日 19時) (
レス) id: cb44763b7d (このIDを非表示/違反報告)
nico(プロフ) - ゆっぴさん» コメントありがとうございます★宮田くんはこれからも引き続き登場します(笑)和らいだ切なさは・・・主人公が必死に自分の気持ちを抑えてなり立ってると考えるとやっぱり切ないんですけどね(笑)これからもぜひ読んで下さい★ (2016年3月21日 19時) (レス) id: 4943dbdf4d (このIDを非表示/違反報告)
ゆっぴ(プロフ) - 初めて投稿します！ドキドキ切なくとても楽しく 読ませていただいてます♪毎日更新楽しみにしています！宮田さんが登場してからなんだかほっこりした気持ちも加わり、更に読むのが毎日楽しみです！素敵な作品ありがとうございます♪ (2016年3月20日 23時) (レス) id: 50e4d53099 (このIDを非表示/違反報告)
nico(プロフ) - 愛玉さん» 愛玉さんコメントありがとうございます★これからも宮っち登場します(笑)少しずつ変わっていく関係。その先にある未来。それは・・・ドキドキしながら読んで下さいね(笑) (2016年3月20日 19時) (レス) id: 4943dbdf4d (このIDを非表示/違反報告)
愛玉(プロフ) - nicoさん» 今回は切なくなく、ほっこりした気持ちで読めました！宮っちの力って凄いですね☆2人の雰囲気も良くなって、これからどーなっていくのかドキドキします！続き楽しみにしてますね。 (2016年3月20日 10時) (レス) id: 616fe441e4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：nico
| 作成日時：2016年3月12日 17時
