好きって言わない_3 ［yuta_t］

Chapter108 近くて遠い ページ14

A「京都のおみやげ

・・・鴨サブレがいい」









裕太「鴨(笑)？・・・鳩でしょ？」









A「それは鎌倉

京都は鴨なんだよ」









裕太「まじで(笑)？」









A「前に雑誌で見て

かわいかったの・・・

見つけたらでいいから」









裕太「忘れなかったらね」









A「やったー！

あっ！そうだ！

いいもの見せてあげる」









クローゼットから取り出して
裕太に渡すと









裕太「うわっ！

捨てろよこんなの(笑)」









A「うけるよね(笑)？

２人ともめちゃくちゃ真顔なの」









それは真新しい中学の制服に身を包む
私と裕太のツーショットの写真









A「引っ越しの時見つけたのけたの

多分２人きりで写ってる写真なんて

これしかないと思わない？」









裕太「いいから早く捨てて」









A「嫌だよ

あーこの頃のうーた

かわいかったのになぁーって

思い出す用だもん」









写真を奪い取り裕太と
写真の中の裕太を見比べる









A「・・・うーたぁー

大きくなったねぇー」









裕太「どこのババアだよ(笑)」








・







・








その後くだらない学生時代の
話で盛り上がって
少し口数が減った裕太から
聞かされたのは
飼っていたモモンガ達と
お別れした話だった









少ししんみりした気分になって
落ち込む裕太の頭をぐるぐる撫でる









裕太「何だよこれ」









A「うーたも

前にやってくれたじゃん」









A「今日は私からのパワーあげる日」









いつものように『俺はいいよ』と
嫌がるかと思ったけれど
返事は『ん。』と一言だった









・









・









結局その日もパーカーを
返し忘れた事に気づいたのは
布団に入った直後の事









A→裕太

パーカー！









裕太→A

忘れた。また今度









・・・また今度









その日が近いのか遠いのか
それはわからない









私と裕太の関係も同じで
近いのか遠いのかわからない









いつも思ってた
私と裕太が背中合わせで立つ
一番近い場所にいるけど
お互いに世界一遠い場所を見てるって
そんな２人だなって思ってた






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それから少しして









休みの日に合わせて
遊びに来たホノカは









またもや裕太が載った雑誌を
片手にやって来た

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