Chapter03 バンビ現る ページ4
一瞬起きたことが
わからず少し停止した後
『ありがとうございます!』
彼に聞こえたか
聞こえてないかはわからない
彼は振り返る事もなく降りて行った
世の中捨てたもんじゃない
そんな事考えながら
ホームに降り立った
・・・とりあえず1回帰って
荷物置いてから出社しよう
そう思い向かった自宅
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目の前のハイヒールから視線を
外せないまま固まって
妹?
いや、彼には体育会系の熱い兄
しかいない事はよく知っている
友達?
今日は土曜日
昨日飲み会でもして終電なくなって
仕方なく泊めてあげたのかな?
自分でも驚くくらいのポジティブな考え
でもその考えは秒殺で消えた
廊下の先のドアが開き出てきたのは
ゆるゆるに巻かれた
ロングの髪を掻きながら
見覚えのあるスウェットの上だけを着て
その下からは無防備に見える細い脚
少しでも態勢を変えたら全てが
見えそうなくらい色気がムンムンと漂う
ブカブカのスウェットが余計に
華奢な体を際立たせる
バンビみたいな女の子だった
・・・。
バンビと目があって
私は何も言わずドアを閉め
トランクを引っ張りながら廊下を歩き
エレベーターの『現実行き』のボタンを押した
ドラマのような展開
でも彼は私にとっては『いい人』だった
こんな事を言うと強がりや
偽善者に聞こえるかもしれないけど
それでもやっぱり
私にとっては『いい人』だった
学生時代からどちらかの家で
過ごす事が多くなった私達は
就職を機に彼が私の
マンションに来る形で同棲をスタート
家事は基本的に分担
残業で遅くなった日は
消化にいいスープを
疲れたと言ったらマッサージを
酔っ払って帰ってきても酒くさい私を
おかえりと優しく抱きしめてくれる
彼との同棲生活は彼の優しさで
成り立っていたのかもしれない
でもそんな彼が浮気をした
いや・・・彼は浮気は出来ない
いつからバンビとの関係が
始まったのかは
わからないけれど・・・
始まった以上それはもう
『本気』だという事
私と彼の時間は間違いなくあったから
皮肉な事にそんな彼の事は唯一わかった
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nico(プロフ) - 由貴さん» コメントありがとうございます!藤ヶ谷くんのイメージを壊さないように書いていければって思ってます★ (2016年2月19日 0時) (レス) id: 4943dbdf4d (このIDを非表示/違反報告)
由貴(プロフ) - こんばんは!!凄く良いですね!!太ちゃん格好いいです!! (2016年2月18日 1時) (レス) id: bf39404b50 (このIDを非表示/違反報告)
nico(プロフ) - ゆなさん» コメントありがとうございます!これからも明るい要素を取り入れラブコメチック全開で頑張ります! (2016年2月15日 22時) (レス) id: 4943dbdf4d (このIDを非表示/違反報告)
ゆな(プロフ) - おもしろいです(^^)時折クスクス笑ってしまう会話とか最高です(笑) (2016年2月15日 20時) (レス) id: 8abb1e480e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nico | 作成日時:2016年2月7日 13時