【歌/い/手】開かずの扉の帰宅部バンド��* −超青春型放課後タイム−

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朝


シーツから自分の肌へと伝わる体温は少し前よりだいぶ暖かくなったと思う。


眠たい目を擦り、タオルケットを剥いで冷えた地面に足をつけ、扇風機のスイッチを切る。



……なんか最近バタバタしてて全く気づかなかったけど。


「……夏になったんだなぁ」



ふと、窓の外を見る。

照りつけるこの時間帯にしては高い 朝日と、一箇所に重なり合う雲と、寒色の朝顔を見ると夏が到来した気が増す。


……朝御飯はさっぱりしたものにしよう。

いつの間にか消えた眠気を忘れて、制服と鞄を手に取り部屋を出た。



＊＊




「ぇー、今日で一学期が終わり、夏休みに入りますが……」


校長の長ったらしい演説に耳を傾けるものはほぼおらず、生徒は友人と小声で話したり、欠伸を隠そうとしない者もいたり、結構好き勝手過ごしていた。


しかし、もう夏休みか。

明日から始まる四十と数日間の休み。




去年は勉強して、ランニングを毎朝欠かさずやっていたことくらいしか思い出がないけど、今年はどうなるだろう。


部活はあるのだろうか。
それとも普通に休み？


今までは特に休みが入ることに対してあまり関心はなかったが、今年は何かがあるんではないかという期待があるあたり、私も確かに変わったなぁと思わず苦笑した。


確か、この朝会とHRが終わったら 部室にに集合だったはず。


まあ夏休みの過ごし方とか雑談とか、今後の練習のミーティング程度で終わってしまうのだろう。

けど、しばらく会えなくなる皆の顔を見ておくのは今のうちかなぁ。


なんて思っているといつの間にか校長の演説は過ぎていた。




＊＊＊





「というわけで！夏休みは合宿をすることにする！！」


どどん！と効果音がつきそうなくらいな勢いで、佐藤先生は腕を組んで叫んだ。


東校舎内全体に轟くぐらいに通った声に、軽音楽部メンバーは唖然としていた。

もちろん、声量にではなく内容に、だ。



「えっ、え!?予約とかは!?一体どこに…」

「ここ(学校)に決まっているだろう、この部活金ないし」

「「「「…………え？」」」」

何を言っているんだという目で、質問の主である天月くんを見る。

いや、我々からしたらお前が何を言っているんだ、と返してやりたい。



「まぁ落ち着け落ち着けお前ら。これは、軽音楽部名物の「チキチキ☆バレないように頑張れ！in.学園夏合宿！」なんだから」


「「「チキチキって何!?!?」」」


どう考えてもそのタイトルで落ち着けるわけない。

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