【銀魂】最低な恋をしよう【銀時土方】

悔恨 ページ42

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「俺はAを手っ取り早く捕まえるための餌につかわれたってわけだ。...けどよ、それを断る理由はねぇだろ？このままじゃあいつ―――もう一年なんて到底もたねえ。死なせねえ方法はもうこれしか残されてねえんだよ。」

やり場のない怒りを含んだ声は、廊下によく響いた。

Aが息をするだけで、機械はその寿命を縮めていく。身体の全機能を別の機器に委ねることで、体内の機械の負担を大幅に軽減しているのだという。
そのため、通常の植物状態と現状こそ酷似しているが、根本的な仕組みが異なるらしかった。


「どんな奴の手を借りようと...こいつだけは、死なせるわけにはいかねえ。また俺は何も伝えちゃいねえ。ずっと耐え続けてきたこいつにまんまと騙されて、思惑通り幸せな人生とやらを歩かされるとこだったんだ。―――文句の一つでも言わねえと、気が収まんねぇんだよ。」


硝子の向こうのあいつは、目を固く瞑ったまま微動だにしない。

俺はただ、自分の事しか頭にない目の前の男に腹が立って仕方がなかった。


「...ざけんじゃねえよ。」


突き付けられた木刀を握りしめ、感情に任せて力を込める。
するといとも簡単にその剣先は折れ、残骸だけが床に散らばった。


「お前が許されたいが為に、こいつはずっとここで生き続けるってのか！？天人共の言いなりんなって、もう二度と酒も飲めねえような体にしてもまだ死ぬことすら許してやらねえのか！？そりゃてめえらの勝手な都合だろ！....万事屋、お前が一番たちが悪ぃんだよ。Aの為だとかほざきながら、結局は自身への呵責に耐えられなくなって根を上げたに過ぎねえくせに。」


表情一つ変えず、奴はただ真っ直ぐに目を見つめてくる。

...だからこいつは昔から気に食わねぇんだ。


「ならどうしろってんだ？お前にはこの管、引っこ抜けんのかよ。」


日本にある法は、それを殺人罪と定めている。
例えそれが本人の望んだことであっても。最後に患者の息の根を止めた者は、れっきとした裁きを受ける対象と世間に認識される。

恐れているのは処罰ではない。

けれど、この延命処置をやめること。

それは――――Aを殺すことと同義だ。



「命からがらかけてきた電話でAがなんていったか、教えてやろうか？」


さあ、思う存分に後悔しろ。




Aの嘘を見破れなかったこと。

何の力にもなってやれなかったこと。

そして、



Aをこんな状態に仕立て上げやがったことを。

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