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日々 ページ23

それから間もなくして、万事屋周辺の面々五人と私がお登勢さんのお店に呼び出された。

銀ちゃんから"大切な話がある"と。

直接本人の口からきくまでも無く、彼が何を告白しようとしているのかは容易に想像がつく。
案の定幸せな顔を見せる銀ちゃんがいて、その笑み1つで、今まで私の成してきたことすべてを肯定されたような気さえした。


「式にも来てくれ。」


Aには最高の晴れ舞台見せて後悔させてやらねぇとな、なんて冗談を銀ちゃんは言うけれど、結構それ洒落になってない。
一連の行動に未練何て微塵も感じてはいなくても、悔しいに決まってるでしょ。
...白無垢姿で誰よりも着飾って、あなたの隣に居たかったという気持ちは、嘘じゃなかったもの。

ただこの場に私を呼んでいる時点で、過去と向き合い清算したうえで次に進もうとしているという意思が伝わってくきた。
不仲になったからといって縁を切り、うやむやにして葬っていいほど、私たちの関係は軽くなかったから。






万事屋からの帰り。
夕飯の材料を買いに大江戸スーパーへ足を運んだ。

安心したせいだろうか、なんだかお腹が空いている。
手軽に作れて食欲をそそるもの...カレーあたりでいいだろうか。
どうせ誰に食べさせるものでもないし。

「にんじん、じゃがいも、たまねぎ。ルーは家にあるし、牛肉も確か昨日の残りが...。」

女一人暮らしで自炊する程度の食材なら、ビニール袋一枚と少しで収まった。
さてスパイスはどうしようか、と構想を膨らませながら、たかがカレーひとつで何処となく浮かれている自分に気が付く。
銀ちゃんが嫌がるから控えていた、激辛グリーンカレーにでもしてしまおう。

「三等賞!おめでとう奥さん!」

考え込んでると、後ろから突然快活な声がした。
追いかけるようにしてベルの音が鳴り響く。

見るとそこには行列ができていて、赤いはっぴを羽織った男の人が景品を女性に渡していた。
どうやら商店街の抽選会をやっているらしい。
一等は遊園地チケット、二等は最新電気機器、三等は商品券…となかなか頑張った品目が並ぶ。
その下には『抽選券三枚で一回』と書かれた弾幕が机に貼ってあった。

「...そういえば。」

がさがさとスーパーの袋を漁ると、レシートと一緒に紛れている抽選券を見つける。
けれど、あれ、二枚しかない。

「これじゃあ足りないなぁ。」

まあまた買い物には来るし、取っておいて損は無いかもしれない。
お財布に抽選券を押し込み、自宅を目指した。

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設定タグ:銀魂 , 土方十四郎 , 坂田銀時   
作品ジャンル:アニメ
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月見おはぎ - ただの思い過ごしかもしれませんが、物語の中にDOESさんの曲名が入っていて銀魂愛を感じました。最高のお話を有り難うございます。 (2021年9月26日 18時) (レス) @page11 id: f413eaa44e (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - コメントするのこれが初めてです、、今まで読んだ作品で一番切なくて一番胸が痛くなって一番感動したお話でした。素敵な作品をありがとうございました。。 (2020年3月17日 23時) (レス) id: 97657b2818 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - なるぽんずさん» 燻った想いたちが不完全燃焼の状態で終焉を迎える。そんな物語を目指しました。そのようにおっしゃって頂けてうれしい限りです。課題頑張ってください...!高杉長編と沖田の心中ロメオを更新しております。そちらの次作でもお付き合いいただければ幸いです。 (2017年7月31日 21時) (レス) id: 5bb7c4f37e (このIDを非表示/違反報告)
なるぽんず - 読んでいて胸が苦しくなるような、心に響くお話でした。読み終わった今も悶々とした気持ちでいます。夏の宿題の読書感想文、できることならこれで書かせていただきたいくらいです(;_;) 切なくて悲しいけれどじんとくるお話をありがとうございました。次回作楽しみです (2017年7月31日 13時) (レス) id: fa67502a01 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - ローズさん» 執筆している側としても居酒屋あたりを思い返すと、考えさせられるものがあります....。最終話以降の展開の細かい展開は、やはり読者様達の御想像にお任せしたいとおもいます。こちらこそ、最後までお付き合いいただき本当にありがとうございました。 (2017年7月24日 22時) (レス) id: 5bb7c4f37e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しののめ | 作者ホームページ:http://nanos.jp/aoikasou/  
作成日時:2017年6月10日 21時

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