【不死川実弥】風柱、少女を拾う。

にじゅうに ページ22

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最近、Aの様子がおかしい。
前まではずっと自分にくっついて離れなかったのに、今は避けられているような気すらする程に近付いて来なくなっていた。

不死川は、反抗期だろうか、と(本人は自覚していないが)少し寂しい気持ちになる。



「A」


「なにー？」


「座れ」


あぐらをかき、ポンポンと自分の膝を叩く。

前なら「やったー！」と満面の笑みを浮かべながらこちらへやってくるのに、案の定目を背けて「いいや」とどこかへ行ってしまった。


不死川の心に、想像以上のダメージが加わる。


(クソ、玄弥の反抗期もまだ味わってねェのに…)


まさかコイツの反抗期に胸を痛める日が来るとは。
不死川は、Aの代わりにこちらへ擦り寄ってきた猫を持ち上げる。



「てめェはいつもアイツと一緒にいるよなァ？」



血管が浮き上がっている不死川に、猫は身の危険を感じた。
恐ろしい形相を前に、微かに震えながら不死川の目を見つめる。


「みゃ〜？」


最後のあがきだと、可愛く鳴いて首を傾げてみた。
しかし不死川にそれが通用するのは、この世でただ一人。


「A…」


Aの愛らしい表情を思い出したのか、不死川は猫から手を離し弱々しくそう呟いた。

ようわく解放された猫は、一度不死川を見てから逃げるように部屋を去っていく。



一人その場に残された不死川は、娘の反抗期に悩む父のように頭を抱えていた。



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