＊どうしようかな ページ32
庭を眺めていたら、廊下から足音が聞こえた。
「おはよう……今起きたわ……」
「サク、おはよう！」
櫻井はふわあとあくびをして、マサおはよう、と返してくれた。
ちら、と庭を見て眉をひそめた櫻井。
「……あいつらは何してんの？」
庭ではしゃいでいるユキと二宮。
立って見ていた松本にユキが飛びつき、バランスを崩して松本が倒れたところだった。
それを見て、二宮が爆笑している。
「なんかね、ユキと遊んでるよ」
「うん、だろうね」
苦笑した櫻井が、部屋の中を見回した。
「サトは？」
「サトちゃんは寝に行ったよ。さすがに眠いって」
あぁ、と櫻井が申し訳なさそうな顔になる。
「もしかして、サトは徹夜してた？」
「みたいだね」
また、庭を眺めるマサ。
今度は二宮にユキが飛びついて、二宮が転んでいる。
いけいけ！ と松本がはやし立てているのが分かった。
「あの二人。よく喧嘩してるけど、なんだかんだで仲良いんだよ」
そう言って櫻井は肩をすくめると、ご飯何食べたらいい？ と台所を覗く。
「あぁ、ごめん！ 今用意するね」
慌てて立ち上がったマサ。
すっかり忘れていた。
「大丈夫。にしてもすげえな……学生でもあそこまではしゃがないだろ」
櫻井は庭を見て、呆れているらしい。
二宮が落ちていた木の枝を拾い、遠くに投げるとユキと松本が走る。
争った上でユキが勝ったらしく、嬉しそうにユキが二宮に駆け寄るのを見て、松本は悔しがっていた。
きっと、二人もいい大人ではあるのだろう。
それでも子どものように、はしゃげるのはすごい。
サトが残していたご飯を用意して、机の上に並べる。
魔法で作ったからなのか、時間が経っていてもまだ温かかった。
「はい、どうぞ」
「ありがとう。いただきまーす」
櫻井が座った椅子の向かい側に座って、またぼんやりと庭を眺める。
今度は二宮とユキが争っていたが、二宮がうまく木の棒を取ったらしい。
しゅん、としているユキを見て、松本がユキの頭を撫でていた。
「マサはさ、学園の学生なんでしょ？」
櫻井に聞かれて、庭から目線を外した。
「そうだよ」
「何年生なの？ そういう概念ってある？」
言われてみれば、伝えていなかった。
「俺は三年生だよ」
「そっか、三年生なのか。何年生まで学園に通うの？」
うーんと考えて、マサは苦笑した。
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作者名：翠霞チサ
| 作成日時：2021年2月15日 22時
