アラニュエの森 (ページ26)

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「宇宙魔法学っていう授業が学園にあってね。受けたいって言ったら、まず自分の授業をやれって怒られて……受けられなかったの」

残念そうにしているサト。

それはそうだろう、とも思ったが、自分の身に覚えがないわけではない。

櫻井も苦笑する。

「俺も興味がある学会に顔を出したいって言ったら、自分が今所属してる学会の発表をやれって怒られたな」

サトと櫻井は、どこか似た部分があるのかもしれない。

ふふ、と笑ったサトは静かに下降し始める。

宇宙船の近くにたどり着いていた。

櫻井が乗っている箒も、ゆっくり下がり始めた。

とん、と地面に降りたサトが、宇宙船を見上げる。

櫻井も地面に降りようとして、足が滑って尻もちをついた。

「あっ、大丈夫？」

音に振り返ったサト。

「大丈夫。ちょっと滑った」
「ごめん、足場悪いよって言えばよかったね。この辺り、滑りやすいの」

汚れた服を見て、サトが服を綺麗にしてくれた。

この服も、借りているものだ。

サトは小柄なため、同じく小柄な二宮くらいしか服が合わない。

櫻井と松本は、二人よりも背が高かったマサの服を借りている。

「ありがとう」
「ううん。そういえば、これ開けっ放しにしちゃってたけど……大丈夫かな？」

サトが宇宙船の入り口を見る。

確かに開いたままだ。

「雨って降った？」
「雨？ううん、ずっと晴れだったよ」

水に濡れていたら怪しいが、雨が降っていないのならおそらく大丈夫だろう。

「とりあえず中の様子を見たいな……入れてくれる？」

サトを見れば察してくれたのか、手に持っていた箒ごと櫻井を浮かせてくれた。

そのままふわりと中に着地する。

「ありがとう。本来ならはしごが降りてくるはずなんだけど、出てきてないから」
「あ、そうなの？魔法で開けたから、変わっちゃったのかもしれないね」

サトは箒で浮いて、中に入ってくる。

人をそのまま浮かせるよりも、箒で浮いた方が楽なのだろうか。

奥を覗いて苦笑した。

「真っ暗で何も見えないな」

そもそも夜の森の中だ。

外にいたときも、衛星の頼りない弱い光しかなく、かなり暗かった。

宇宙船の内部はすべて電気で動いており、窓という窓も少ないため、止まってしまえば真っ暗になる。

「灯りつけようか」

そう言うとサトはポケットから杖を取り出して、杖の先に光を灯した。

一応杖も持ってきていたらしい。

魔法は便利なものだ、とつくづく思った。