Quatre-cent-vingt-cinq[両親編終わり] ページ40
そして、今年になって
イタリアにいた時
「ん、何してんだ?A」
『あぁいえ、なんでもありませんよ』
「なんでもねえ、って顏してねーよ」
アサヒさんが横から僕の読んでいた書類をのぞき込む
「何だコイツ」
『いえ、ちょっとした刑務所にいる囚人リストですよ』
「何でフランス?」
時間のある時にあの頃の事を調べてみた
物心がついて色々分かるようになると
あの時の事はなんとなくわかる
やっぱり、あの時の変な車は
運転手は酔っていた
…そして
「泥酔して交通事故…また随分自業自得なヤツじゃん」
『噂じゃ、回数を重ねすぎて刑務所に入れられたそうですよ』
うちの両親もその中の人達、と心の中で呟く
『…僕はまだ未成年ですから料理に使うくらいしかできませんけどね』
ーーー
事故のあと、病院に運ばれて、
起きたら知らない大人の人達がたくさんいて
みんな、かわいそうな目で僕を見ていた
血縁はいないし
まだ子どもなのに、居場所のない僕
…つらい
『おかあさんたちは…』
「いいかい、キミのお母さんとお父さんは
…もういないんだ」
『…っ』
「たすけられなくて、ごめんね」
ーーー
勿論、
犯人を恨んだ
調べてもらった資料によると
両親の事故の後も暫く逃げていて
捕まったのは事故から二年後
それまでのうのうとしていた事が許せない
あまつさえ、回を重ねる愚行
けれど、
『終身刑ですから』
「交通事故で終身刑って、なかなか重くね?」
『簡単に言えば、反省の色なしって事なんでしょうね』
もう、正当に裁きを受けて
一生会う事はないんだし
ずっと恨みを抱えて生きるのも
時間がもったいない
それよりも
“「Aは将来イケメンになるわよー!」”
“「そこは料理人じゃないのか…」”
“「何言ってるの、料理人は当たり前よ」”
“『うん!』”
気持ちを入れ替えて
沈めておこう
ーーー
『…ん』
「起きたか」
「おはよー」
『あれ…寝てた?』
気が付いたら、真上に潤さんの顏があって
『うわぁ…ごめん』
「クスクス、いいのいいの
久しぶりだったし」
身体を伸ばそうと
起き上がって両手を上にあげる
-ボキッ
『うぇ…』
「ジジイかよ」
『うるさいよ』
「どんな夢見てたの?」
『んー、昔潤さんと初めて会った時かな?』
今、ここに居ることは後悔していないしね
“「初めまして」
『…誰ですか』
「お母さんのお友達なんだ」
『かあさんの…』
「日本っていう国は知ってる?」”
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blu (蒼)(プロフ) - ぷるさん» 「どーも!!、漸くオレの出番なんで、ちゃーんと食ってってくださいよ!」 (2021年4月28日 8時) (レス) id: cb665f2842 (このIDを非表示/違反報告)
ぷる - 続編おめでとうございます!これからワクワクして待ってます! (2021年4月26日 7時) (レス) id: 39613b56f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼 | 作成日時:2021年4月26日 2時