9eme livre Mort de 3eme annee

Quatre-cent-onze ページ26

『クルートか』


フランスの調理法の一種で
小麦系の生地で素材を包み、オーブンで焼き上げる調理法

それに付随して
クルートを使った皿の事もさす


『パテ・クルート世界選手権なんて、
それをメインとした大会まであるほどだから
よく言えば定番、悪く言えばだれでも使える技術』



生地に色んなスパイスを混ぜたりして
香りを付加させたり
素材をの持ち味を維持したまま
食感を加えたりも出来る



えりなちゃんのクルート
使われてるスパイスは…



『やっぱりだ…』

「？」




ポンコツだから間違ったかと思っていたけど
…間違いない



「御明察
最大の秘密はそこにあるのです…

当初のプランを変更し
この全く新しい一皿を作るにあたって

元々鶏肉にまく予定だったクルートにも
ある食材を急遽混ぜ加えました

その食材とは…」





『女木島も使ってたピーナッツが元の
ピーナッツバターと、ゲソ』

「…は？」



「みじん切りにした、ゲソとピーナッツバターですわ!」

「「「ゲ、ゲソピーーー!!?」」」




ゲソとピーナッツバターとは
…まるで、


「食べ合わせの食材にしても
ありえませんわよ

極星寮で
幸平君がゲテ物として勧めてましたし」


『あ、やっぱり？』



潤さんも食わされたのかな、なんて
クスリ、と少し笑えてきた



「そう!
ゲソピ―こそが前菜とメイン
皿同士を繋ぎとめるジョイントなのです!

ピーナッツバターのまったりとした風味は
鶏肉のコクを深める優秀な隠し味となり

また、ゲソの適度な塩味と苦味は
肉料理の脂、風味を接続するのに
極めて効果的!

幸平君がさんざん勧めて来たゲテ物ですらも
私にかかれば美味なる一皿へ変身するという事ですわ」



…なるほど



幸平君が肉、えりなちゃんもメインで肉
随分重ためな食材のチョイスかな
と思っていたけれど


『横のつながりがないわけじゃなかったんだね』



「メインの地鶏肉のゲソピ―のクルート…

その二つを支える形でソースや付け合わせも
全て調味し直しました


幸平創真の前菜の後に食べることで

下に響く美味が最大値まで
高まるように!」



彼女の皿の仕掛けは
ゲソピ―とメインの肉、
神の舌の塩梅で組み上げられた
とてつもないバランス



「凄え…」

「幸平が神の舌を利用したように」

「薙切さんも創真くんのゲテ物料理を利用して
自分の料理に取り入れたなんて…!」




『スペシャリテとスペシャリテのコース料理、か』


最初は幸平君の勝手に巻き込まれて
えりなちゃんがどんな皿を出すのか分からなかったけど


まさか、此処までのモノを出してくるか

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