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メイクをしてもらい着替えた俺は直接現場へ向かった。
「お、キタミツ間に合ったんだ〜」
と宮田がニヤニヤしながら近づいてきた。遅れたことを謝ると
「大丈夫だよ」と笑ってくれた。
これ以上迷惑かけないように気持ちを切り替える。
そんな矢先、始まるギリギリに現場入りした横尾さんと藤ヶ谷を見て心が痛む。
+++
冠番組の特集でグループ撮影だけだから案外すぐ終わった。
楽屋に戻り着替えては次の仕事に向けて身支度をする。
「あ〜〜〜疲れた〜〜〜っ」
と一番最後に帰ってきたタマが不意に俺に抱きつく。
「あ〜ミツ今日もちっちゃいねえ、っていつもと匂いちがーう。甘い匂いする、ガヤみたい」
大倉の服の匂いかな、と思いつつも「そんなことねえよ」と笑えば、二階堂まで近づいてくる。
「確かに!!!ミツからこんな甘い匂いしたの初めて!!てかミツこんなおしゃれな服持ってないでしょ!!」
ハハッと笑い流していると不意にアイツと目が合った。
すぐ逸らされたが。
「ちょっといいか」
そういえば、とログのことを思い出し、人があまり来ない喫煙所に連れていく。
黙って付いてくる藤ヶ谷はどこか切なそうで、でも不機嫌な態度だった。
俯きながらいつもつけているアクセサリーをいじっていた。そんな藤ヶ谷を横目に煙草に火をつけ切り出す。
「横尾さんと飯行ったこと、わざわざ書く必要あったか?メンバーも見てることは藤ヶ谷もわかってんじゃねえの?二階堂すっげえ悲しんでたんだよ」
俯いたまま口を開かない藤ヶ谷に少しイライラする。
「ま、それだけ。」
全然吸っていない煙草の火を消し捨て、いち早くこの無言の空間から逃げ出したくて
「・・・飯行って次の日眠いとか言ってたり、集合時間遅れてまで他のグループの方と居る人間が言うこと?」
喫煙所のドアを開こうとした時、冷たく放たれた言葉に時が止まる。
「はあ?」
言われたことは何一つ間違っていなくて、でも昨日のことを思い出せば思うほど、イライラしてきて。
「メンバーに好きとか言って甘えてる人間に言われたくねえ・・・」
吐き出した言葉はとてつもなく嫉妬と嫌悪感に溢れていた。
”幼稚な嫉妬で醜くなることが嫌いだな”
「北山がそんな人間だと思わなかった」
向けられた視線は鋭く、でも今にも消えそうな声だった。
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作者名:妖狐 | 作成日時:2019年10月19日 0時