僕ハ君ナシデ (ページ3)

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「ミツ、起きて～～。」

ゆさゆさと身体を揺さぶられる感覚に目を少し開く。

あの後少しタマに問い詰められたが

実際彼女ではなく、久しぶりに大倉から呑みに行こうと言われたので楽しくてつい遅くまで呑んでいた。

それを言うとタマは「なーんだ、よかったあ」と言葉を漏らし眠い俺の頭では「よかった」がどういう意味だったのかもわからず眠りについていた。

まだ気怠い体を起こし、「よし」と顔をペチッと叩き自分を奮い立たせる。

「タマ、ありがとう」

いつもながらの天使スマイルで頷き楽屋を出ていた。そのあとに続けば、現場には５人が揃っていて。

「おいおい、玉森～くるのおせえぞ！」

「うるせえ、俺はイケメンだから時間かかんだよ！」

なんて恒例の小競り合いをしながらも

「７人揃っての撮影から個人撮影に移りまーす」

とスタッフさんの元気な声が響く。

「並び方は、横尾さん宮田さん玉森さん北山さん藤ヶ谷さん二階堂さん千賀さんで！真ん中に寄り添うようにみんな体くっつけて！！北山さんと藤ヶ谷さんは向かい合って！」

先ほどの弁解ができていず、少し心残りだが、今更こいつには関係ないかと少し開き直っていた自分がいた。

左右からの密着によって俺とアイツの距離が数センチにも満たなくて。

カメラでは映らない裏側、少し手が触れ合った。途端嫌な顔をしてはすぐに手を避けられた。

どれだけ距離が離れても、これほど如実に避けられたのはなくて。

「え」

少し言葉をこぼす俺に「ミツどうかした？」と後ろからタマに声をかけられる。
「いや、何もないよ」と返すとまたカメラに向かってアイドルスマイルを向ける。

そのあとはアイツと隣になる場面はなく、個人撮影も順調に終わった。
楽屋に戻るとみんな帰る用意をしたり、飽きずにゲームをしていたり。

「ミツーーー！今日こそは俺達と飯行こうゼ！！」

今日はこの撮影だけで終わり。朝からいたはずなのにもう時刻は午後５時を指していた。

「っしゃ、行くかあ」

昨日は断っちゃったし、飽きずにこうして誘ってもらえるのはメンバーとして、仲間としてすごく嬉しい。

「あ、なんならみんなで飯行こうよ！！」

二階堂の少しハスキーな声が楽屋に響く。

「俺もこの後予定ないし、いいよー。宮田も行くぞー。」

ふわふわとしたタマの声が返ってくる。

「ガヤと横尾さんは？」

「今日予定あって！！ごめん」

謝る横尾さんに続けて藤ヶ谷も断りの言葉を入れた。