▶︎光の夜 ページ33
『え、捕まったの?』
「うん。不法侵入未遂と器物損壊罪。Aの家のドアノブ壊そうとしてるところを見かけたマンションの住民が通報してそのまま現行犯逮捕だって」
『・・・そっか』
「そっちで過ごしてみてどう?」
『大分快復した。夜も眠れるようになったし、一人でも行動できるくらいになったよ。・・・・・・ありがとねオリバー、あの時すぐに来てくれて』
「どういたしまして。Aは家族みたいなものだからね、当然だよ。もう少しそっちにいるの?」
『ううん、月末には戻るつもりでいる。にじフェスの映像、現地で最終調整だから』
「そう・・・無理してない?」
『してない。ちゃんと最後までやり遂げたいの。大丈夫だよ』
「わかった。そういうところは昔から変わらないね。日本に戻る便決まったら教えて。空港まで迎えに行くよ」
・・・・・
オリバーから一報を貰って一週間後、日本に戻った。
日本に戻ってからは映像製作の仕上げに掛かり切りで、マネージャーにはわざわざ帰ってこなくてもって言われたけど、依頼を受けた時からそういう約束だったし、完遂したかった。それに、このまま日本に戻らなくなりそうで少しだけ怖かった。
そんなわけで、フェス会場に入ってからはホテルと会場をずっと行き来していたけど、fantasia day1が無事に終了して、わたしの仕事も終了した。今日は開場前にブースを回ったり配信を見たり、あとは楽屋にいたライバーさん達にも会えて、たくさん話をした。
みんな心配してくれていて、わたしがいない間の出来事をたくさん教えてくれたんだけど、SMC組のおふたりとかチャイカさんには執拗に加賀美さんと会えたか聞かれた。何でって聞いても詳しくは教えてくれないんだけど何かあったのかな?
「A!?」
『あ、晴くん』
「え、帰ってきたの?!体調はもう平気?というか何でここに?待って、本物?」
『はは、落ち着いてよ!体調はもう大丈夫、ご心配おかけしました!』
「そっか、そっか〜〜よかったー・・・・・・ あ、そういえば社長に会った?」
『・・・なんでみんなそれ聞くの?』
「え、みんなから聞かれてる?」
『うん・・・誰も理由教えてくれないんだけど・・・』
「あ〜・・・社長ね、最近忙しくてお疲れ気味だったんだけど、酔った時とかAに会いたいってよく言ってんだよね」
『え』
「あはは、そういう反応になるよね、わかるわ〜。聞いてるこっちも恥ずかしいって」
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作者名:雨 | 作成日時:2022年9月23日 18時