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樹side
彼の過呼吸が落ち着いた頃にはとっくに始業のチャイムが鳴っていて、2人で「ちょっとサボろっか」なんてついこの間まで名前すら知らなかった仲なのに、とちょっと吹き出してしまった。
「あ〜〜！！気持ちぃ〜〜！！」
今日は快晴、梅雨時にはありえないぐらい清々しいほどの青。
学校で1番空に近い、立ち入り禁止のその場所が、背徳感もあり気持ちよくてたまらなかった。
北「先生から聞いた。田中、心臓が悪いんだってね」
「んーまぁな。ほぼほぼ治ってるけどまぁしぶとくて、ちょいちょい保健室行ってる」
北「そっか、この前言ったこと、なんであんなに怒ってたかあの後知ってやっとわかった。ごめん」
「もういいよ、俺の方が酷いことした」
北「保健室、あんま被らないよね」
「ってことは松村も保健室の常連？！」
北「まぁ……一応」
「そうなんだ」
しばらくの沈黙、そよ風の音のみが耳に木霊する。
北「俺さ、パニック障害なんだ。」
「パニック障害？」
北「うん。頭が痛くなると発作を起こす。ダサいでしょ。君の病気に比べたら………」
「違う」
「お前のここには、傷があるの」
そう言って彼の胸を優しく撫でた。
「見えなくても、傷があるの。だから、すっごく苦しくてもがいてる。何が原因で傷を負ったかは俺には分からない。あのさ、もし良かったら教えてくんねぇかな？」
北「え、」
「同じ保健室常連の誼としてさ、なんかこう、出来ることはねぇかなーって。あれからずっと考えてたけど、何も見つからなくて。俺の恩師がね、心の風邪を治すには、誰かが知って、受容することも大切だって」
先生が言っていた。周りが知ることも、治癒の1歩だって。もちろんそれだけでは治らないけど、確実に前には踏み出せるんだって。
北「えっと、その………」
「無理なら全然言わなくていいよ」
北「あ、じゃなくて……上手く言えるかなって…とぎれてもちんぷんかんぷでも、話聞いてくれる？」
「もちろん」
怯えも混じった彼の話は、衝撃的だった。
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しずく - 面白かったです！更新楽しみにしています。これからも頑張ってください！ (2021年8月2日 21時) (
レス) id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)
みみ - 面白いです！ (2020年10月31日 3時) (レス) id: 7af6836f29 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くも | 作成日時：2020年9月24日 23時
