. ページ40
樹side
「ふざけんな」
気がついたらそう怒鳴っていた、誰かも知らない人に。
騒がしい音で眠気を完全に奪われたので、何があったんだと興味本位で話を聞いていた。
そしたら出るわ出るわの戯言。
自分が病気だったらどうしよう？検査して何も無かったのに？
なんだよその妄想、ふざけんな。
養護「樹くん、」
安静にしてなさいと言う養護教諭の制止を振り切り、ずんずんとその男子生徒に近寄った。
北「なっ……何だよ……」
「ふざけんなよお前。病気じゃないんだろ？変な被害者意識してんじゃねぇよ。本当の病気の辛さなんて知らねぇくせに！」
養護「ちょっと！やめなさい！」
「病気の苦しさ、知らないくせに……どんだけ辛くて痛くて怖いか、知らねぇくせに………
体切られて心臓触られたことなんてないくせに！！被害妄想もいい加減にしろよ！！」
北「…………」
「俯いてねぇでなんか喋れよ！あーそうだよな！その病気かもって妄想だもんなぁ。 なんにも制限されなくて、毎日すげぇ量の薬飲まなくてもいいもんなぁ！！俺だって、俺だって………」
そこで、限界が来た。
ぎゅっと締め付けられる心臓が痛い。大きく打ったり小さく打ったり、早くなったり遅くなったりする鼓動が苦しい。
養護「体縮こめないで！腕解くよー、ここにもたれさせるからね、ゆっくり息吐いて……」
もたれかかった瞬間だった。全身の力が抜けて、俺は俗に言う「意識を失った」状態になった。
目が開けていられた最後の光景にうつるその男子生徒は、俺からずっと遠く離れて、顔面蒼白で震えていた。大粒の涙を流して。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 379人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しずく - 面白かったです！更新楽しみにしています。これからも頑張ってください！ (2021年8月2日 21時) (
レス) id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)
みみ - 面白いです！ (2020年10月31日 3時) (レス) id: 7af6836f29 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くも | 作成日時：2020年9月24日 23時
