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樹side
「あーっ、くそっ！」
退院するため車まで向かうことも、今の俺には重労働で。
看護師の介助有りきで歩いているのに上手く足が運べずもたつく足、看護師の腕を握る手が震えてうまく掴めなくて
座り込んで泣き出したい気持ちを何とか奮い立たせて母の待つ車へと足を運んだ。
「ねぇ、」
母「ん？」
「俺を引き取っ、っ、た、こと。こうっ、後悔して、、る？」
母「何馬鹿なこと言ってんの。あんたは私の、んで里穂と和宗くんの大事な子供だよ。」
「ごめんなさい………」
母「樹。あんたも聞いてたと思うんだけど、これから出来ないことがどんどん増えていく。悔しいと思う、恥ずかしいと思う。だけど、“助けて”って絶対言うことだけは約束して。ママ、和宗くんに何も出来なかったって悔やんでる里穂をずっと見てきたの。あんたは優しい子だから周りに迷惑かけられないって思ってるかもしれないけど、頼ることも周りへの気遣いだから。忘れないでね」
プルプルと震える手をぎゅっと握り、溢れそうな涙をぐっとこらえ頷いた。
和宗………俺の本当のパパは、俺と同じ脊髄小脳変性症で亡くなった。ママはその事実を受け止めきれな切ったんだろう、車の中で自らの生を止めた。
そんな宙ぶらりんだった俺を抱きしめ、「大丈夫だよ」って言ってくれたのが産みのママの親友である、今のママだ。
今のママには、昔「大我」という子供がいたそうだ。その子は生まれつき心臓に爆弾を抱えていたみたいで、俺を引き取る前の年に亡くなったそう。
嗚呼、俺はとことん親不孝で、他人に迷惑をかけているんだな。なんでこんななんの関係もない人に、2度も子を亡くすという不幸を与えてしまっているんだろう。
今、堪えている涙はママに優しくされた事への涙ではなく、
何も出来ない、むしろ重りになっている自分への自責の涙だった。
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しずく - 面白かったです！更新楽しみにしています。これからも頑張ってください！ (2021年8月2日 21時) (
レス) id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)
みみ - 面白いです！ (2020年10月31日 3時) (レス) id: 7af6836f29 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くも | 作成日時：2020年9月24日 23時
