. ページ17
ジェシーside
「ごめんなさい、話、お願いします」
児相に通報されてから、日に日に折檻は強くなり、それと同時に自分で助けを呼ぶことを諦めたそう。
所謂洗脳状態、その時の樹はこの残酷な世界を本能的に受け入れたのだ。
勿論中学にも通えなくて、それを不審として家庭訪問なんかに来る先生もいなくて、世界から見放された感覚がより樹を殻に閉じ込めた、とのことだ。
そして、カウンセラーさんはここで本格的に保護するきっかけとなった事件についても話してくれた。
13歳の時にこれまでにないぐらい強く手を挙げられたそう。
その衝撃で鼓膜を破り、そして失声症に。そこから15歳の中学卒業式まで父親の折檻に耐え、鼓膜が破れ耳が聞こえづらいまま、そして声が出ないまま放置されたとの事だった。
卒業式にも来ないことを怪しんだ教員の通報で虐待発覚、保護、父親逮捕、これがここに来るまでの一連の流れだそうだ。
「あの……耳は………」
1番聞きたかったことをぶつけた。失礼かもしれない、ここまで聞いといて何だがあまりにもプライバシーかもしれない。でも、でも。
カ「鼓膜破られてから暫く経つから、耳が少し聞き取りにくいのは本当。今は治療中だから時期に治るかな。でもそれが本意じゃなくて、」
“なにか喋ることで叱責されて、殴られ、母親にも父親にも人格を否定され、もう誰とも喋りたくなかった、否定させるのが辛い” と、ここに来たばかりの樹は答えたそう。
「失声症……えと、声も出ないし、全聾って嘘ついてたら補聴器要らないしバレなさそうって事ですか……」
カ「そう、最初の面談で全く聞こえない素振りをしてたの。でも障害者手帳を持ってなかったから最初は疑いからかかった。
まぁでもこれなら持ってなくてもおかしくないかなって。
発行しに行くって言ったら白状したの。鼓膜が破れてるかもしれないってことも。
今の話は特に内緒ね。学校にも嘘ついてるから、今の樹くんにはこれ以上負担を増やしてもだめだって私たちなりに考えた結果だから」
「もちろん分かってます…」
施設側としては、保護されてからすぐ高校に入学しようとも考えていたが、樹の栄養状態も精神状態も良くなく、閉所に閉じこもる癖があり、トイレの個室を出るとパニックを起こしていたこと
中学でまともに教育を受けられなくて中々高校に受からなかったこと、だから本当は俺より1つ年上だということも教えて貰った。
カ「あ、そうだ。ちょっとこれ見て」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 379人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しずく - 面白かったです！更新楽しみにしています。これからも頑張ってください！ (2021年8月2日 21時) (
レス) id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)
みみ - 面白いです！ (2020年10月31日 3時) (レス) id: 7af6836f29 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くも | 作成日時：2020年9月24日 23時
