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ひらひらと幾つもの花びらが散っていく季節。


放課後の人がまばらになった教室で、提出するはずのプリントが手元にあることに気づいた。


期限は今日。急いで書き込まなければいけない。


机の周りでさんざんウロウロした黒尾も、流石に待ちきれなかったのか3分経ったところでさっさと部活に行ってしまった。


その方がありがたいけど。


ようやく記入が終わり職員室へ向かおうとすると。


「やべ……!」


廊下側から吹き込んできた風がプリントをさらって、窓へ抜けていく。


下を覗くと幸いすぐ近くの茂みに着陸したようで、仕方なく回収すべく外に降りる。


グラウンドでは部活に励む人々の声が活発に響いていて、俺も今ごろ練習に参加してる予定だったのに、なんて肩を落とした。


しばらくがさがさと茂みを捜索するも、またどこかへ飛んで行ったのかプリントの姿は見当たらない。


(はやく部活いきてぇのに……)


少しだけイライラした心が、背後の気配に気づくのを遅らせて。


『……あの』

「わっ……」


少しサイズ感の大きい制服、見たことない女の子。


(一年、ぽいな)


『これ、探してますか?』

「え?」

『あ、あのこれ、プリント落ちてて……さっきそこで拾ったので……』


差し出されたプリントには確かに俺の名前が書かれている。


「あ!これ探してたんだよ!」


おずおずとプリントを渡してくれた彼女に軽くお辞儀をして受け取ると、ホッとしたように微笑む。


『汚れとか……一応払ったんですけど、大丈夫ですか』

「あーうん、特にないよ。ありがとうな」


これでやっと部活にいける、なんて安心して校舎に戻ろうとすると、彼女がまだあたりをキョロキョロと見回している。


思えばこの時から始まったんだ。


「……探し物、だったら手伝うよ」

『え、でも』

「拾ってくれたお礼!な?」


そういうとホッとしたようにふんわり笑って、俺の隣にしゃがんだ。


(なんか、女子って感じ)


無事に探し物が見つかって、職員室に寄って。


部活に遅れて先輩には怒られたし黒尾はニヤニヤしているけど、不思議と悪い日じゃないと思った。


それからは1人でご飯を食べてるのを見かけて教室に誘ったり、廊下ですれ違うたび話したり。


花びらが少しずつ積もるみたいに、恋になった。


近くにいて、たまに助けになれればそれで、なんて口走ると同じ部活の2人は必ずこう言って笑う。


「純愛だな」


って。

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作品ジャンル:恋愛
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えま - はい!読みます!! (4月6日 18時) (レス) @page33 id: c3dc1b262f (このIDを非表示/違反報告)
ボルシチ(プロフ) - えまさん» コメント嬉しいです…!ありがとうございます☺️ (4月6日 11時) (レス) id: f90a9b58f4 (このIDを非表示/違反報告)
えま - 完結おめでとうございます!とっても面白かったです!! (4月6日 9時) (レス) @page32 id: c3dc1b262f (このIDを非表示/違反報告)
ボルシチ(プロフ) - いもりさん» 素人の文にそう言って頂けて嬉しいです…!こちらこそありがとうございました🙏 (4月5日 22時) (レス) id: f90a9b58f4 (このIDを非表示/違反報告)
いもり - 完結おめでとうございます!!とってもドキドキしました(`・ω・´)こんないい作品書いて下さりありがとうございました! (4月5日 17時) (レス) @page32 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ボルシチ | 作成日時:2024年3月22日 12時

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