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(そういえばマネージャーやらないかって、言われてるって伝えるの忘れちゃってたな)


練習終わりに言おう。


そんなことを考えていると体育館の隅で1人壁に向かってボールをレシーブし続けている夜久さんの姿が目に入った。


最近はあんまり話してないな、とじっと見つめていたらボールが転がった拍子にぱちりと目があってしまった。


軽く会釈をすれば、夜久さんも軽く手を上げて答えてくれる。


(あんまり見てたら、集中できないよね)


なんて思っていると、何やら海さんが話しかけるなり夜久さんのボールを預かって、背を押して歩き始めた。


その足は徐々にこちらへ近づいていて。


(あ、あれ?練習いいのかな?)


あっという間に目の前までやってきた海さんが口を開く。


「黒尾から聞いた。マネージャー、もしやる気になったら歓迎するよ」


それだけ言い残すと夜久さんの肩を叩き、行ってしまった。


取り残された夜久さんと2人だけ。


『あの……練習は』

「……いいよ、休憩中の暇つぶしみたいなやつだから」

『なら、よかったです』


なんだかあまり笑わないし、声もすこし硬い気がする。


すぐ近くの壁に背中を預けて座り込む夜久さんにつられて、私もしゃがみ込む。


(……もしかして)


その時一つの考えが頭に浮かんだ。


声に出すべきか迷ったけれど、聞かずにはいられなかった。


『やっぱり……中途半端にマネージャーとかやられたら、迷惑ですよね』

「……え?」

『あ、あの、やるって決めたから来たわけじゃないし、むしろ私に務まるのかって思ってるくらいで……』

「ちょ、待て!俺は全然!そんなこと思ってないから!」


慌てて止めに入る夜久さんに、私は首を傾げた。


『あ、あれ……?じゃあ、どうしてこっちに』


それを言いにきたのでは、と問いかける私に、自分の髪をわしゃわしゃとかき上げて下を向いた夜久さんが答える。


「……あのさ、俺はAがマネージャーになってくれたら……その、嬉しいよ」

『え……そう、ですか?』


意外な返答に対して、変な語尾になってしまう。


「Aはやるって決めたらちゃんとやるコだって、俺は知ってる……半端にやるようなやつ、黒尾だって誘わねぇだろ。でも……だからだ」


ふい、とよそを向いて、夜久さんは続けた。


「Aに大変な思い、させちまうから」


そっと顔を覗き込んだら、林檎のように真っ赤な頬がそこにあった。

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作品ジャンル:恋愛
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えま - はい!読みます!! (4月6日 18時) (レス) @page33 id: c3dc1b262f (このIDを非表示/違反報告)
ボルシチ(プロフ) - えまさん» コメント嬉しいです…!ありがとうございます☺️ (4月6日 11時) (レス) id: f90a9b58f4 (このIDを非表示/違反報告)
えま - 完結おめでとうございます!とっても面白かったです!! (4月6日 9時) (レス) @page32 id: c3dc1b262f (このIDを非表示/違反報告)
ボルシチ(プロフ) - いもりさん» 素人の文にそう言って頂けて嬉しいです…!こちらこそありがとうございました🙏 (4月5日 22時) (レス) id: f90a9b58f4 (このIDを非表示/違反報告)
いもり - 完結おめでとうございます!!とってもドキドキしました(`・ω・´)こんないい作品書いて下さりありがとうございました! (4月5日 17時) (レス) @page32 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ボルシチ | 作成日時:2024年3月22日 12時

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