【クリュアペ】祈りは通ぜぬ【CS】 (ページ6)

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○「努力」
彼の目指す“天才”とは、模倣と理解の速度が異常に早いことを指す。
そのため先んじた練習や教科書の読み込みなどで授業範囲をカバーすることにより、まるで初見からできるように見せかけている。…というのが、彼の天才肌のタネ。そのため計算が必要であれば公式をみっちり叩き込むし、スポーツであれば体を動かして体に入れる。それをパッとこなせるようになるまで練習する。非常に単純明快ではあるが、それが最も手っ取り早い方法。それだけの集中力と継続力は持ち合わせているが、他人に見られたくないため、大抵は夜にこっそり起き出して少しずつできることを増やしている。昼間眠そうにしていることがあれば、大抵これの夜更かしが原因。
授業範囲に限ってしまえば、これだけでどうにかはなる。

問題は日常生活における、いわゆる無茶振り。
例えば不意に布と刺繍糸を渡されて「鳥の形に縫って」と言われてもできるわけがないが、そうやって振られそうなものを事前に抑えることはできる。彼の努力はそういった部分にまで手を回しており、幅広い知識はこれの賜物。また、目指すところが模倣と理解であるため、基礎知識をとことん詰め込むだけで一定数どうにかなるのも救いの様子。ちなみに彼は簡易的なものであれば裁縫もできる。
普段の無気力な態度が功を奏してか、今のところ困るような事態には陥っていない。また、無理矢理やってミスをするよりも断って残念がられるほうが何百倍もマシのため、できないことは「今気分じゃないんで」や「巻き込まないでもらっていいッスかぁ～？」などと伝えることでのらりくらりと躱している。……これで通るところを見るに、普段の態度の酷さが伺える。
無論、その日話題に出たものは忘れないうちにメモをし、夜には練習を開始している。

○半生について
ハロルドは辺境に土地を持つ、農業一家の次男である。自然豊かな小さな町で、近所との付き合いも多く行われていた。ダフ家は古くはその土地の領主だったと言われているが、現在では畑に囲まれているだけのごく普通の家。
しかし、そんな家に念願の長男として産まれた兄は、ひどく優秀な人だった。幼い頃から見ただけで人並にでき、練習すれば人よりも上手にこなせる。いわゆる天才。兄は家族や親族だけでなく、近所の人々にも蝶よ花よとたいへん愛されて育っていた。その愛に応えるように、兄はとても物腰柔らかな人になった。

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