蜂楽 廻の可愛がり日記。

心の治安維持には ページ17

Aは俺に依存してるのがどーのこーのって悩んでたりしてたけど、俺も相当だ


学校行くときは今まで録音してきたAの声とか俺との通話とか聞いてるし
パソコンのキーワードはAの誕生日とイニシャルだし、パスワード入力画面もパソコンの壁紙もAの写真だし、俺のスマホのロック画面も壁紙もキーボードもAの写真だし、スマホの暗証番号はAの誕生日だしスマホとかパソコンの写真フォルダはAの写真とAが送ってくれたイルカの写真とかしかないし。

Aに触れてないと落ちつかないし。
1秒もAから離れたくない。

なのに、


『今日、めぐの心は治安悪そうだね』

「え？あー。
うん、まぁ、良くはないかもね」

『どうしたの？』

「…朝、ヘッドホン壊れちゃってさ」

『あぁ、あのお気に入りの』

「そう。別に壊れたりするのはいいんだけど」


問題はそこじゃない。
ヘッドホンが壊れて朝 Aの声聞けなかったことが大問題。
Aから離された時間、どうやってもうめられなかった。


『今度いっしょに見に行こ？』

「うん。」


今一緒にいれて、話せてるんだからいいじゃん。
そう思う気持ちと、あのうまらない数時間のモヤモヤをうめたい気持ち、どっちも同じくらいあって


『よしよし』

「ん？」

『いいこいいこ。よしよし。めぐはいつもいい子だね』


Aが俺の頭を優しく撫でてくれた。
俺の気持ちを察したように。


うまらなかったものが、うまっていく感じがした。


『めぐ、めぐ、めぐ、めぐ』

「……」

Aが耳元で囁くように名前を呼んでくれる。
左右交互に。

『よしよし、元気がないなら甘いもの食べよ？、アイス食べる？、めぐの好きな缶詰めパイナップルもあるよ？』


右、左、右、左…。
交互に囁いてくれる。


Aの可愛い声が耳を通して身体全体に広がっていく。


『あーんしてあげよっか？』

……、

満たせれていくのがわかる。
うまらなかったものがうまっていく。
あの数時間分がうまっていく。


「A、」

『ん？』

「缶詰めのパイナップル、食べさせて」

『いいよ、困った子さんのめぐちゃんっ』


取ってくるから待っててね
って言って、俺の唇にキスしてくれた


あぁ、いつもは俺が年上だしAが甘えんぼで気づかないけど、Aの優しいとことか地味に面倒見いいとことか、こうやってお姉ちゃんみたいなことするとことか、すごい好き…。
さっきまで沈んでた心が元気になってく…

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