蜂楽 廻の可愛がり日記。

かっこいいと思った日 ページ12

「A、ちょっと待っててね」

『うん』


めぐが高１の頃の夏、めぐのママの個展がやってる大阪までドリブルしながら行くってめぐから連絡があって、気をつけてねって返信した数時間後に道中ですれ違ったわたしも同行することになった日の話。



めぐが近くの公園でお手洗いに行くって言って、それを待ってたとき、嫌な感じの4人組の人たちに絡まれた


「おいそこのちっこいの！ここは今から俺たちがサッカーすんだどけ！」

『…、あ……でも…』

「っせーな！」



って、わたしに向かってサッカーボールを蹴ってきた。


『…っ』


これは絶対顔面にあたる！と思って覚悟したら


「危ないなぁ」

走ってきためぐがわたしの腕をうしろへ引いて、軽々と飛んでくるボールをとめた。


「んだてめー」

「キミら今何しようとした？」

「はぁ？そこのチビが邪魔だったんでどけっつってたんだよ！」


めぐは嫌な感じがする人たちと喧嘩腰に話してるときもずっと、怖くて震えてたわたしの手を離さなかった。

…めぐがブチ切れてるのはじめてみたから、どっちかって言うとめぐが怖くて震えてたんだけど。


「サッカーってそういうスポーツじゃないよね？」

「はぁ？」

「俺がサッカー、おしえてあげる」


そう言って、めぐはわたしを抱きあげてそのままドリブルしながら走った。


『…めぐ……？』

「大丈夫だよ」


うしろからあの人たちが追いかけてくる。

4人組の1人がめぐに追いついたけど、めぐはスルッとかわしてまた走る。

わたしを抱きあげてる状況でもこんなにスルスルっと動けるめぐの運動神経はすごい。


走ってると次は3人が通せんぼしてきた


「3人…」


めぐがちょっと困ったように呟いた。

……さすがに、いくらめぐでも3人を抜くのはむりか…。


そう思ってたとき、


「A、空飛びたくない？」

『え？』


こんな状況で何を言ってるんだろう…


「飛びたい？だよねだよね！
ほら、高い高いだよ！そーーーーれっ」



と言ってわたしを思いきっり上へなげた。

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