スタンドバイミー ページ4
*
外は豪雨、暴風、稲妻と雷鳴。規則的に窓がカタカタ鳴って、その窓から一番離れたところに丸まっているのが僕の恋人。どうやら雷が怖いらしく、光ったり鳴ったりする度に小さく悲鳴を上げている。その小さい悲鳴は外の風の音に掻き消されて聞こえない、……という振りをしている。運悪く今日はマグルのホテル。停電している上に雨戸も閉めているので部屋は真暗で何も見えないけれど、たぶんあれは震えてるんだろう。素直に雷が怖いと言えばいいものを、Aは意地を張って僕から離れたところにいた。別に雷が怖いくらいで馬鹿にしたりしないんだけど……。
蝋燭を灯そうと杖に光をつけて、鞄をさぐるついでにしばらく部屋を照らしてやる。案の定、部屋の隅に埋まるように膝を抱えて座っていた。
「大丈夫?」
「だい、じょーぶ…」
語尾が震えている。
ごろごろと空が怪しげな音を立ててから、閃光と轟音がほぼ同時にやってきた。それと重なるように聞こえる叫び声。光ったと思ったら鳴って叫んだ、という感じ。もちろん叫んだのは部屋の隅に埋まっているA、さすがにさっきの悲鳴は誤魔化せないだろう。
「き、聞こえた?」
「雷?すごかったね」
「う、うん」
彼女の意地に応えて聞こえない振りをしてやったが、何だかこのままこの状態を続けるのも可哀想だ。蝋燭に火を付けてから部屋の隅に向かう。そっと彼女の肩を抱いてやれば、やっぱり震えていた。
「あ…ニュート?わ、私はだいじょーぶだよ…」
この期に及んでまだ意地を張るつもりらしい。仕様のないひとだ。
「あのさ、A」
「う、うん?」
「僕が雷嫌いだ、って言ったら、どうする?」
「……しょうがないから一緒にいてあげよう」
それはこっちの科白だ。
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ミコト(プロフ) - すっっっごく、好きです、これはニュートにさらに惚れちゃいます///続き楽しみにしてます!!!! (2019年4月6日 23時) (レス) id: 47f303260b (このIDを非表示/違反報告)
こめ(プロフ) - 雨海夕日さん» そ、尊敬なんて恐れ多いですう><ありがとうございます!これからもキュンキュンして頂けるよう精進しますね〜〜! (2017年1月8日 14時) (レス) id: 7ce7de2d70 (このIDを非表示/違反報告)
雨海夕日(プロフ) - 初コメ失礼します。短編でこんなにキュンキュンくる小説書けるなんて…尊敬しかないっす。本編含め更新待っとるやにー。 (2017年1月7日 0時) (レス) id: cf36659c9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こめ | 作者ホームページ:http://twitter.com/kome_tsuku
作成日時:2017年1月3日 10時