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＊
「………化け物……」
飲み込むように、Aがその言葉を呟く。
それは、いつか遠い日の自分が毎日のように浴びせられていた言葉だった。
どうして自分は人と違うのだろう。
血が欲しいのだろう。
姿が変わるのだろう。
そう、自分が自分でなくなれば良いと思っていた。それでも、今はーーー。
「……化け物だって、構わない、です……」
そして、再びAは小さな拳を握り直す。
「……大切なものを、ひとを、守れるなら。私は喜んで、化け物にでもなんにでもなります」
再び、両者の間に火花と閃光が散った。
＊
マグルの子どもを避難させ、すぐにまた戻ってきたティナは、その光景を固唾を飲んで見守っていた。
本当ならば、Aを止めなくてはならない。今すぐ自分が飛び出して、止めるなり、せめて加勢しなくてはならないことは分かっていた。
しかし、できなかった。
それはグレイブスとAの闘いが、あまりに苛烈を極めていたから。
そして、Aを止めることは、彼女本人が望まないであろうことが、痛いほど伝わってきたから。
先刻、ニュートからAが吸血鬼の血を引いているということについて聞いた際の、彼の言葉を思い出す。先を進むAには聞こえない位置で、ニュートはぽつりと呟いた。
「……僕は、Aを闘いに巻き込むわけにはいかない」
「え？」
ティナは思わず聞き返した。
それは吸血鬼化したAには魔法が効かず、更に常人離れした身体能力が宿るという話をしたばかりだったからだ。
見かけによらず戦闘向きだという話の流れだったはずなのに、なぜニュートが難しい顔をしてそんなことを言うのか、ティナにはすぐ理解できなかった。
「ホグワーツを出た時に、決めたんだ」
不思議そうな顔でこちらを見るティナと目を合わせることなく、地面に視線を向けたまま、ニュートは続けた。
「Aは……人を傷つけられない」
「え？それ、どういう……」
「人を傷つけたら傷つけただけ、自分も傷ついてしまう。ああ、勿論、物理的にって意味じゃあないけど……」
「………」
「Aは、優しすぎるから」
どこか寂しそうに小さな背中を見るニュートのその表情が、ティナの脳裏に浮かぶ。
そして今。
自らの意思で拳を振り、仲間のために闘うA。
そんな彼女を止める権利を、自分は持ち合わせているのだろうかーーー。
ティナは自問したが、答えは出ないまま。
ただただAの身を案じるばかりだった。
＊
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ミコト(プロフ) - 更新大変だと思いますが、続き見たいです!!楽しみにしてます!! (2019年4月6日 11時) (
レス) id: 47f303260b (このIDを非表示/違反報告)
のん民(プロフ) - つづき見たいです (2018年12月7日 3時) (レス) id: 8246ba9fb8 (このIDを非表示/違反報告)
のん民(プロフ) - こうしんやめたの？ (2018年12月7日 3時) (レス) id: 8246ba9fb8 (このIDを非表示/違反報告)
らな - 頂きものページは別で記載していただきたいです。読みにくい (2018年11月26日 0時) (レス) id: ca6b27a01c (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - 連載始まった時から読んでいます。１番好きな小説です。更新大変かと思いますが楽しみに待っていますm(*_ _)m (2017年2月26日 23時) (レス) id: 88bfe4bc23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こめ | 作者ホームページ：http://twitter.com/kome_tsuku
作成日時：2016年12月26日 0時
