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何も言わないAを見て、ナーラクはそれ以上追求しようとはしなかった。
「……わかった。こいつを頂く」
「ま、待ってくれ、A、それは君のーーー」
声を上げたのはニュートだった。
A本人とニュートだけが、あのペンダントが捨てられていたAにとって、唯一の所有物だったことを知っていたのだ。行方の知れない彼女の家族についての唯一の手がかりーーーそんな大切なものを、魔法動物の情報と引き換えになどさせられない。
しかし、慌てるニュートにAはかぶりを振って言った。
「大丈夫です、先輩」
「A……」
「探している魔法動物とやらだが、メーシー百貨店に行ってみるといいぜ」
ナーラクはAのペンダントを手に、そう言い残して踵を返した。
「行けるものなら……な」
その瞬間、店内の至る所で破裂音、瓶やグラスの割れる音、人の足音、悲鳴があがった。音の方を振り返って見れば、役人らしい複数の魔法使いが一斉に姿現しで店に降り立ち、ニュートたちに迫ってくる。
「通報したのね？！卑怯者！」
ティナがナーラクにくってかかった。「取引には応じただろ？」ナーラクは彼女の怒りをものともせず、飄々として店の奥へと進んでいく。
「ーーーーいいえ」
その手を掴み歩みを阻んだのは、いつの間にか吸血鬼の姿に化していたAだった。
「な……っ」
瞬間移動でもしたかのようなAの出現に、ナーラクは声が出ない。「ティナの言う通り……、あなたは、卑怯者です。私のペンダント、返してください」淡々と言いながら、Aはナーラクの腕を捻るように締め上げていく。
「早くしてください。さもないと……」
「わ、わかった！わかった！」
腕の回転が360°に達しかけたところで、ようやくナーラクは空いた手で胸ポケットからペンダントを出し、Aへと渡した。変わらず無表情でペンダントを仕舞うAをまじまじと見て、息を切らしながらナーラクが言う。
「お嬢ちゃん、あんたは一体ーーー」
「……貴方には、関係ありません」
呟き、Aはニュートの元へ駆け寄った。
「本気で心配したんだぞ、A」
困ったように見下ろすニュートに、「……こうなるって、分かってましたから」「でも……」「大丈夫って、言ったでしょう？」Aは珍しく微笑んだ。
「……まったく」
ため息を漏らし、ニュートはAを抱いて姿眩ましをする。再び彼らが現れたのは、メーシー百貨店の前だった。
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ミコト(プロフ) - 更新大変だと思いますが、続き見たいです!!楽しみにしてます!! (2019年4月6日 11時) (
レス) id: 47f303260b (このIDを非表示/違反報告)
のん民(プロフ) - つづき見たいです (2018年12月7日 3時) (レス) id: 8246ba9fb8 (このIDを非表示/違反報告)
のん民(プロフ) - こうしんやめたの？ (2018年12月7日 3時) (レス) id: 8246ba9fb8 (このIDを非表示/違反報告)
らな - 頂きものページは別で記載していただきたいです。読みにくい (2018年11月26日 0時) (レス) id: ca6b27a01c (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - 連載始まった時から読んでいます。１番好きな小説です。更新大変かと思いますが楽しみに待っていますm(*_ _)m (2017年2月26日 23時) (レス) id: 88bfe4bc23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こめ | 作者ホームページ：http://twitter.com/kome_tsuku
作成日時：2016年12月26日 0時
