【センラ】理想のカップル、プレゼント。/鎖座波 ページ13
「やっぱりAとセンラくんは理想のカップルだよ〜」
カフェにて、友人カップルから告げられた言葉にそう?と笑いながら返す。
隣にいるセンラも嬉しいわぁ、だなんてはんなりとした京都弁で笑っていた。
ぐるぐるとミルクの注がれたカプチーノをかき混ぜて、白からミルクベージュ色に。
混ざり合って一つの色に、一つになる。
「だってこの前とか熱出したのにすぐ気付いてくれて看病してくれたんでしょ!?私のは気付いてもくれないし、料理もできないからダメだよ〜」
「はぁ!?そんな言い方ねぇって!」
「まぁセンラの料理美味しいし」
「Aの料理も美味いで?今日の朝のエッグベネディクトはソースが絶妙でめちゃくちゃ美味かったわ」
いいな〜うらやましいなぁ〜と笑うカップルを目の前にして、私も羨ましいなぁ、と思う。
カプチーノを飲み終われば、時計を見た目の前の友人カップルが帰らないといけない!と席を立つ。
この後、二人で映画に行く予定を立てていたようだ。
私達もこの後は少し離れた場所に移動してからの大事な大事な用事があるので、釣られるかのようにして席を立つ。
自然なように。
不自然さなんてないようにして。
「………何人?」
「多分五、六人ぐらい。調べたけどそれぐらいしか来えへんやろ」
「慢心でこの前怪我したの誰よ」
「すみません」
カップルと別れてからの会話だなんて、誰にも分からないだろう。
分からないし、分からせてはいけない。
何人、と言うこの会話も普通の人間の会話ではない。
いや、普通の人間が会話をすることにこんな会話はよくあることなのだろうが、この会話の指し示す内容が有り得ないことなのだから。
センラの隣を笑顔で歩いて行けば、目的地の少し陰気臭い場所に辿りつく。
薄気味悪いこんな場所にももう慣れた。
人なんて来るはずもないし、ただ来るであろう珍しい人間を待つだけ。
「……来た、」
センラからの声に身構える。
コツリ、コツリ、と聞こえる足音に人数を確認する。
人数は六人程度。
今回はセンラの読みが当たったようで、ホッと胸を撫で下ろす。
「もうちょっとでクリスマスなのに…相手方は可哀想にね」
「慢心が〜言うとった割にはAこそ余裕たっぷりやん」
「はいはい。さっさと終わらせて帰ろう」
そっと胸に弾を込めた銃を忍ばせた。
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