*** ページ26
×
クリスマス当日。
テレビを点けてもクリスマス、もちろんスマホを開いてTwitterを見てもクリスマス。YouTubeを開いてもクリスマス。
気分転換に外に出てもクリスマスクリスマスクリスマス。
どこもかしこもクリスマスムード。完全に浮かれきっている。
おれと違って。
今日はイエス・キリストの降誕祭だぞ?? 分かってんの?
なんて、隣を通り過ぎたカップルに心の中で悪態をつく。
はいはいどうせおれは最愛の彼女に、仕事を優先されてぼっちクリスマスを過ごすことになった寂しい男ですよ。ええ。
「くそぅ〜…」
今年こそはいちゃらぶするつもりだったのに…。
聖夜の夜が、性の6時間とまで言われるくらい「 クリスマス=カップル 」だというのに肝心の彼女がいません。お疲れ様でした。あーあ。
寂しいし、同じくぼっちクリスマスを過ごしているリスナー過ごそうかなぁ…配信するか…。
そんなことをぼけーっと考えながら、帰路につく。
…そういえばおれ、何か忘れてるような…?
なんだっけ…あれだ…ほらあれ…なんだっけ…んーんん!
腕を組み、首を傾げつつマンションに入ると、荷物を持った宅配の人とすれ違う。手に持たれた荷物は、伝票の貼られた小さな箱。
「っあ、の! それ、成瀬宛ですか…?」
思い切ってそう声をかけると、やはりおれ宛だったらしく、身分証明書を見せると荷物をその場で渡してくれた。
中身は見るまでもない。おれが先週頼んだ、彼女へのクリスマスプレゼント。少しお高い香水と、メイクさんに聞いた今人気…らしい、口紅。
今年は一緒に過ごせると思って、必死に考えて選んだ、少し奮発した贈り物。
…さて、どうしたものか…。
きっと今日も、Aが家に帰るのは日付が変わる少し前だろう。そんな時間におれの家に来るはずがない。おれなら行かないから。…たぶん。
自分の部屋に入りうーんうーんと唸りながら、特に他にやることもないので配信の準備を進め、「きょうの夜 なるせとおしゃべりしよ う」と適当に文字を打ってツイートする。
でも、まだ何か心にひっかかる。
「だめもと…で、」
×
60人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
音溜 - 作者様が豪華すぎる、、!! 生きててよかった、、(^ω^) (2019年12月28日 5時) (レス) id: 826a111be6 (このIDを非表示/違反報告)
人 - 私の大好きな作家さん面白いです…聖夜いいですね! (2019年12月25日 23時) (レス) id: 85e6f3523b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ