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「何だったんだ、今の…?」
「さぁ〜…」
訳が分からない、と首を傾げる潔と蜂楽。その隣で、凪は興味無さそうに欠伸を零している。
名指しされた本人である凛や、蟻生も不可解な表情を浮かべていたが───…その一方で、理由が分かっているAだけが、従兄の暴走に対して内心で溜め息を零していた。
Aと絵心が親戚関係だということは、しばらくの間は伏せておくように…と。このプロジェクトに参加する前、Aは絵心からそう言い含められていたのだ。
ストレスの溜まる生活の中で、絵心に対して反感を持つ者が腹いせにAを攻撃する可能性はゼロではないし。何より、「従兄弟だから贔屓している」……などというくだらない疑いを持たれないための措置である。
だが、それをたった今、絵心自身が危うく自分から暴露しかけていたのだ。
『……、(兄さん、寝不足なのかな)』
いつもよりクマが濃かったような気がして、Aは小さく苦笑していた。
「それにしても、Aは腹の鳴り方までオシャだな」
未だにぐでーっと凛の膝に凭れ掛かったままのAの頭を、「オシャだ、オシャだ」と言いながら愛でるように撫でてくる蟻生。しかしその手を、すかさず凛がパシン…と振り払っていて。再び険悪な空気が漂い始める。
それを察したAは、伸びをするように立ち上がると──、
『で、誰と対戦しよっか。欲しい
と、二人の気を逸らすべく水を向けた。その問いに一番に答えたのは蟻生だ。
「やるなら、4・5・6位の
長い足を組み替えて、手入れの行き届いた髪をくるくると人差し指に巻き付けながら、蟻生はちらり…と潔達を視界に捉える。
だが──、
「黙れ、相手なんか誰だっていい。さっさと勝って、次へ行く」
…そんな蟻生の意見を、凛がピシャリと一蹴した。
「……あ? お前、俺を差し置いて何様のつもりだ?」
イスから立ち上がって背を向ける凛に対し、蟻生が苛立ったように詰め寄ろうとするが、凛はお構いなしの様子で。
「俺が意見を聞くとしたら、相手はAだけだ。数合わせのお前の意見は必要ない」
そう言って、凛は鼻で笑う。Aに聞かれたから答えた蟻生に対し随分と理不尽であるが……そんなものは、凛にはどうでもいい事である。
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椿(プロフ) - 乃愛さん» うわぁぁ…!!コメントのお返事を書いたのですが、送れていなかったのに今気づきました…っ!!申し訳ないです😭💦 書きやすいキャラは口調の特徴とかが掴みやすかったりもしますよね(*´ω`)すらすら書けるキャラとそうでないキャラの差が…笑 (2023年4月5日 0時) (レス) id: e70c88c645 (このIDを非表示/違反報告)
乃愛(プロフ) - 椿さん» そうですよね!私の場合全員推しなのでその中でも書きやすい人を書いてます() (2023年3月28日 7時) (レス) id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - 乃愛さん» やっぱりそうなってしまいますよね…😅キャラによる書きやすさとかもあるんですけど、あとはもう推しかどうか……🥰笑 (2023年3月28日 2時) (レス) id: e70c88c645 (このIDを非表示/違反報告)
乃愛(プロフ) - 椿さん» わかります!私も夢小説書いてるんですがなんか同じ人ばっかりだしてます😅 (2023年3月21日 8時) (レス) id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - ぺんぺんさん» コメントありがとうございます!わぁぁ…そう言っていただけて嬉しいです🙏✨ 最近忙しくて更新が滞ってしまっていますが、今後もニヤついてもらえるようなお話をお届け出来るよう頑張ります!💕 (2023年3月21日 1時) (レス) id: e70c88c645 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:椿 | 作成日時:2023年1月13日 7時