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或る医者たち ページ3

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「それで、最近どうなんだ?」


男は、医学部時代の同級生たちと、久々に酒を飲み交わしていた。男は最近開業したばかりの眼科医、その隣には歯科医、歯科医の正面には整形外科医、そして男の正面には小学校に勤める学校医が座っていた。

いい感じに酔いが回ってきた頃に、歯科医が男に尋ねた。


「まあぼちぼちだよ。来院数もそれなりにあるし」

「開業したばかりだってのに、さすがはT大学病院長の息子だな」


父親の話をされるのをよく思わない男は顔を少し歪ませたが、歯科医はそれに気づくそぶりは全くなく、ジョッキに入っているビールを飲み干した。歯科医には昔からそういう無神経なところがあった。


「俺んとこのクリニック、急に患者さん増えたんだよねぇ」


そんな雰囲気を察してか、既にべろんべろんに酔っ払っている整形外科医がゆったりとした口調で話題を変えた。


「そうなの? この前飲んだときは、『全然患者が来ない! 高齢者が少ないところにクリニックを建てた院長のせいだ!』って言ってたのに」

「えぇ、俺そんなこと言ってたぁ?」


学校医は呆れた表情で「言ってたわよ」とため息まじりに言った。


「でもねぇ、高齢者だけが増えたんじゃなくて、老若にゃんにょ(・・・・・)問わず増えたんだ。しかも、皆おんなじ症状なの。背骨が痛いんだって。
不思議だよねぇ。その患者さんたち診てたら、なんか俺まで背骨痛くなっちゃった気ぃしてさ」


あはは、と愉快そうに笑う整形外科医に、歯科医が小さく手を挙げる。


「ちょっと待て、俺も最近背骨の調子がよくないんだ」

「え、私も」

「僕も、そんな気がしてた」


学校医と男が驚いて歯科医のあとに続いて手を挙げた。

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設定タグ:市販書き , オリジナル , 小説   
作品ジャンル:SF, オリジナル作品
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綾木 麗(プロフ) - ぺぽんさん» うわーありがとうございますーー!!作品は二次創作が中心なのですが、気が向いたらまたこういったオリジナルも書いてみようと思います!お読みくださりありがとうございました!! (2022年12月25日 19時) (レス) id: 5a575a9999 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - こんにちは、とても面白かったです!先の展開が分からないのでドキドキしました✨麗さんの考える世界観が好きです!これからも頑張ってください😊 (2022年11月11日 18時) (レス) @page10 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
綾木 麗(プロフ) - 朱まぐさん» ありがとうございます!こういった形式の小説を公開するのは初めてだったので、そのようなお褒めの言葉をいただけて本当にありがたいです…!あと一話ほどで完結しますので、お待ちいただけたら嬉しいです👍 (2022年11月9日 16時) (レス) id: 5a575a9999 (このIDを非表示/違反報告)
朱まぐ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。お話とても面白かったです!文章も読みやすくて一気に読み進めてしまいました。序盤で出てきた使者と姉弟がどうなるのか気になります。無理せず作者様のペースで頑張ってください☺︎ (2022年11月8日 23時) (レス) @page8 id: d13cf71823 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:綾木 麗 | 作成日時:2022年11月6日 0時

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