或る青年 ページ1
.
青年は鬱屈とした日々を送っていた。生活それ自体に不満はなかった。自分含め、家族は皆健康だし、虐待されているわけでも、いじめにあっているわけでもなかった。
ただ、毎日が退屈だった。特別運動ができるわけでも、勉強ができるわけでもない。また、特別できないわけでもなかった。
主役は自分以外の誰かで、自分は引き立て役にもならない、役名のないモブのうちの一人だと思っていた。自分の存在意義が見いだせなかった。
そんなときに、青年の前に、天使とも悪魔とも神とも閻魔とも似つかない、一人の「果てからの使者」が現れた。その「果て」が何の「果て」なのかも分からないが、彼(もしくは彼女)は自分でそう名乗った。
使者は中性的な声で言った。
「あなた、新しい世界の創始者になる気はありませんか?」
青年は迷わず頷いた。例え騙されていたとしても良かった。毎日が退屈で仕方なかったから、日常と違う体験が出来るのであれば、何でも良かった。
「それでは、スコップを持ってきてください」
青年は急いで家にスコップを取りに帰った。その場から離れている間、その使者は幻想で、戻ったらいなくなっているのではないか、自分がいない間に、別の人が使者を見つけて、先に創始者になってしまうのではないかと、気が気でなかった。
しかし使者は先ほどと全く同じ場所に、全く同じ体制で待っていた。
1人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
綾木 麗(プロフ) - ぺぽんさん» うわーありがとうございますーー!!作品は二次創作が中心なのですが、気が向いたらまたこういったオリジナルも書いてみようと思います!お読みくださりありがとうございました!! (2022年12月25日 19時) (レス) id: 5a575a9999 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - こんにちは、とても面白かったです!先の展開が分からないのでドキドキしました✨麗さんの考える世界観が好きです!これからも頑張ってください😊 (2022年11月11日 18時) (レス) @page10 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
綾木 麗(プロフ) - 朱まぐさん» ありがとうございます!こういった形式の小説を公開するのは初めてだったので、そのようなお褒めの言葉をいただけて本当にありがたいです…!あと一話ほどで完結しますので、お待ちいただけたら嬉しいです👍 (2022年11月9日 16時) (レス) id: 5a575a9999 (このIDを非表示/違反報告)
朱まぐ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。お話とても面白かったです!文章も読みやすくて一気に読み進めてしまいました。序盤で出てきた使者と姉弟がどうなるのか気になります。無理せず作者様のペースで頑張ってください☺︎ (2022年11月8日 23時) (レス) @page8 id: d13cf71823 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:綾木 麗 | 作成日時:2022年11月6日 0時