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どれぐらい話していただろうか
気がつけば長いこと話し込んでいたようで
お互いの仕事の話
家族の話
今一緒に住んでいる相方や後輩の話まで数え切れないほどたくさん話し込んでいた
きっとAさんは人の話を引き出すのがとても上手い人で
話始めてからは俺から対して話題を振らなくても話していられた
こんなことトミーや数少ない友人以外で考えられなくて
ふと見た時計の時刻を見て驚いた
その様子を見てAさんも時計を見て驚いた表情をする
「すいません、もうこんな時間なんですね
お仕事大丈夫ですか？毎日動画配信されているんですよね？」
「いえ、今日の動画はもう予約してあるので大丈夫なんですけど
Aさんは大丈夫ですか？」
「それならよかった、私も今日は非番なので大丈夫です」
そこで話し込んでから初めて会話が途切れる
言った言葉に嘘はない
今日の動画の心配はしなくてもいいのは本当で
でも明日以降のスケジュールに手をつけておきたいところもあって
どうしようか迷うところである
「今日はここまでにしましょうか」
「え？」
「いや、帰りたいというわけじゃないんですけど
もっとお話もしたいですし
でも今日は一旦ここまでにしませんか？」
その言葉には暗に次会おうということがはらんでいて
「あ、はい。
そう、しましょうか」
それに気がついてもなお俺は悪い気がしていなくて
「あの、ラインしてますか？」
「はいアカウントは持ってますよ」
友達の数は少ないんですけどといって笑うAさんと
捨てアドレスではないアカウントで連絡先を再度交換する
「俺、あんまり時間に融通が効かないんで
Aさんの予定に合わせるのは難しいかもしれないんですけど」
「はい、逆に私は融通効くことの方が多いんで
もし寛太さんがよかったら連絡ください」
そういって微笑むAさんに安心する
拒絶したいわけではなくても同じ言葉を投げかけてそう捉えてくれる人は少ない
次の予定を立てなくてもいい関係性になぜか心惹かれるものがあった
「ありがとうございますAさんの家ってこの辺なんですか？」
「はい、ここからなら電車を使わなくてもいいくらいの場所ですよ」
「了解です」
なんとなく聞いて見ただけで
その先に続けようと思っていたことがあるわけでもなく
なんとなく店を出る
「じゃぁ、また」
「はい、また」
簡素な挨拶で終わりを告げた出会い
姉貴に一応問題なく会えた旨を伝える連絡だけ送って
歩いて家路に着く
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作者名：Lsr | 作成日時：2019年10月20日 4時
