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ようやくお互いのことが少し分かって話が落ち着くと
目の前に届いたものが少し覚めてしまっていることに気がつく

「ま、とりあえず食べましょうか」

「はい、いただきます」

海外で生活していたという割りには行儀良く手を合わせて食べ始める
それを見て俺も自分の食事に手をつけた

「あの石井さんは」
そう会話を振ると食べる手を止めて俺を見る

「あの、寛太さんがもしよかったらなんですけど
名前で呼んでもらえるとたすかります
なんだかむず痒くなってしまって」

「あ、はいAさんでいいですか?」

「はい、ありがとうございます
なんですか?」
俺に名前で呼ばれるのが石井さんにとってどれほどのことなのかはわからないが
まぁ海外で生活していたことも考えれば自然なのかもしれない

「Aさんはどんなお仕事をされてるんですか?
さっきパソコンを使うとおっしゃってましたよね?」

「個人で翻訳の仕事をしています本だったり会議用の資料だったり
内容は一定していないんですけど」

「そうなんですね主に英語ですか?」

「そうですね、英語スペイン語あたりならお仕事できる程度にはできますよ」

「すごいっすね、僕も多少なら英語話せるんですけど
翻訳とかってなるともっと難しいですよね」

「そうですね、英語から日本語なら結構スムーズにいくんですけど
日本語で出来上がった文章を英語に変えるのは結構てこずる時がありますね」

「そうなんすか?」

「そうなんですよ、会話を翻訳して字幕みたいにつけるとかなら
できないこともないんですけど、文章になると日本語って急に多様化するじゃないですか?
普段使っているとなかなか気がつかなかったりするんですけど」

「なるほどそれで基本は在宅なんすね」

「はい、最初と途中経過報告みたいな感じでお相手とすり合わせするときは
先方と会ったりもするんですけどそれ以外は基本パソコンとにらめっこしてます
もともと出不精なのもあるんですけどね」

「ああ、それはなんかわかる気がします
僕も何か用事がないと基本家に引きこもっているんで」

「そうなんですか?こんなオシャレなところ知っているくらいだから
てっきりアクティブな方だと思ってました」

「いや、全然ですここもたまたま知っていただけで
普段はカフェとかほぼほぼいかないんですよ」
それからAさんと途切れることなく話していた
初対面でこんなにすんなりとテリトリーに人を入れることなんてそうそうなく
その感覚に疑問も持たずに

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設定タグ:カンタ , 水溜りボンド , 佐藤寛太   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:Lsr | 作成日時:2019年10月20日 4時

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