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「今日はいいお天気でよかったですね」

「はい」

だめだ、初対面な上に人見知りの俺にはこの場を持たせる会話のネタがない
やはりトミーを連れてくるべきだっただろうか

「寛太さんは初対面苦手ですか?」

「正直いうと、人見知りです」

さっきから隣を歩く彼女の顔を見れない

「実は私もあまり得意ではなくて
すいません、うまく話せないんですけど」

だったらなぜこんな予定を立てたのだろうと思ってしまう
そっちが空いたいなんて姉貴に頼むからこんなことになっているというのに

「そうですか」

返事が雑になってしまうのも見逃して欲しい

ついつい早足になりながら目的のカフェに到着する
ここなら静か過ぎないし沈黙があったとしてもそこまで気まずくはならないだろう

「ここです」

「すごいオシャレですねさすが東京って感じです」

「そうっすか」

彼女の感想はとりあえずスルーして入店する
席について適当に飲み物と食事を注文し届くのを待っていると
緊張している様子の彼女の口からとんでもない言葉が飛び出す

「寛太さんはネット関係のお仕事をしているってお姉さんから聞いたんですけど
どんなお仕事なんですか?」

は?

一瞬思考が停止する

目の前の彼女を見ても嘘をついている様子も
とぼけている様子もない

ということは本当に言葉通りの質問をしているということになる

「え、姉貴から聞いてないんですか?」

「はい、ネット関係って言ってもいろんなジャンルのお仕事があるじゃないですか
確かにお会いする前からそんなプライベートな質問聞くのもなとは思ってたんですけど」

「いや、そうじゃなくて」

うろたえる俺を見てなお彼女は不思議そうにしていて

それはつまり俺は今の今までとんでもない見当違いをしていたことになる

彼女は俺が何者なのかをしらないのだ

「どうかされましたか?」

「いや、すみません
俺、見当違いをしていたみたいで」

「見当違い?」

「あの、自分で言うのもあれなんですけど
俺YouTubeに動画投稿してその収益で生活しているんです
なので、てっきりあなたがファンで姉に連絡したのだとばっかり」

自分が情けなくなる
天狗になって初対面の何も悪くない人にひどい対応をしてしまった

「すごいお仕事なんですね!
すいません詳しくなくて、半年前に日本に帰国したばかりで
カルチャー系にまだ疎くて」

唯一救いがあるとすれば俺たちの知名度どうこうではなく
帰国したてで情報をそこまで知らなかったということだろうか

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設定タグ:カンタ , 水溜りボンド , 佐藤寛太   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:Lsr | 作成日時:2019年10月20日 4時

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