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慌ただしく過ぎていく日常の中
待ってもいない待ち合わせの日はあっという間に訪れて
今更だけどこの約束を承諾したことを心から呪っている
メッセージにはもうすぐ着くとの連絡が入っていて
俺も足を踏み出せば目と鼻の先のところまでは来ているのだが
あと一歩が踏み出せずにそこで立ちすくんでいた
すると無情にも向こうから連絡が来ていたとうりの服装の女性が
待ち合わせ場所に指定したオブジェの前に現れる
その人はキョロキョロとあたりを見回しておそらく俺を探している
社会人なのは間違いなさそうだが童顔にも取れるその顔から年齢を予想することは難しい
到着したという連絡も来たためこれ以上は逃れられそうにない
突然用事が入ったと言って逃げたい所だが近くまでついていることは先程連絡してしまった
仕方がない、ここは腹を括ってドラマの撮影とでも思っていくしかない
よし、行くか
そう気持ちを振り絞って一歩踏み出そうと前を見ると
気がつかないうちに彼女の方が目の前に立っていた
不思議そうな顔をしてこちらを見て伺う
「あの、佐藤寛太さんでお間違い無いでしょうか？」
普段街中で気づかれることも少ないためすっかり油断していた
「は、はい
石井Aさんです、よね？」
慌ててつい声が上ずってしまったが
彼女の方は何も気にしていないようで安心したように微笑んでいる
「はいそうで、うまく待ち合わせできてよかったです」
その表情を見てしまうと先ほどまで逃げ出そうとしていたなんてこと
口が裂けても言えない
「はい、どうしましょうか？今日」
会うだけ予定を組んだものの本当に仕事も忙しく
それ以外の予定は何も立てずに来てしまった
「そうですね、とりあえずお昼時ですし何か食べに行きますか？」
「ですね、何がいいとかありますか？」
「特に好き嫌いはないのでお任せしてもいいですか？
この辺り詳しくないもので」
「了解です、
ここから近いところで知っているところがあるんでそこいきましょう」
「ありがとうございます、お願いします」
てっきり出会い頭にサインくださいとか写真撮ってくださいとか言われるものと思っていたため
なんだか肩透かし食らった気分だ
そもそもファンにしてはなんだか様子がおかしくないか？
そんなに高揚した様子も見て取れないし
緊張はしているんだろうけど落ち着いているというか
疑問を抱えつつも目的地まで歩き始める
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作者名：Lsr | 作成日時：2019年10月20日 4時
