あの日々に、あの３人に Ⅲ (ページ7)

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Day 193 ページ7

*

「なんの話だ、ゼロ。」

サイクスはゼロの言っている意味が良くわからず軽く睨んだ。

「なんだろうね。…なあアイザ、何が正しいのかな。」

「…………。」

いろんな意味の込められたゼロの問いにサイクスは答えることはできない。それは彼に答える気がないからでも、ノーバディであるという訳でも、心がないからでもない。

　それは……もともと答えが無い問いだからだった。

「ごめん。変なこと聞いた。」

「………。」

ゼロは耳の後ろを掻いた。

「お、いたいたアブソルー！ちょっと来い。」

「ああ、今行く。……またな、アイザ。」

ゼロはサイクスに背を向けて、シグバールの元へと行ってしまった。
　

*

「アクセルもシオンが心配なのか？」

「あたりまえだ。」

「なんか変な感じがする。」

ロクサスの言い方だと少し失礼な気もするが…。

「どういう意味だよ。」

だからもちろんアクセルは言い返した。

「アクセルってめんどくさいこと嫌いだろ？」

アクセルは考える素振りをして、一度ロクサスから目を離す。

「なあ、ロクサス……俺たちはなんで毎日、あんなところで一緒にアイスを食べてるんだろうな？」

「え？」

ロクサスは唐突過ぎる問いにすぐには答えられなかった。

「これといって用もねえのにさ、普通に考えたらめんどくさいだけだろ？」

ロクサスも一緒に考える。

「どうしてだろう……。」

「教えてやろうか？」

ロクサスに顔を近づけてマジックの種を明かす子供のように笑った。

「それは俺たちが親友だからさ。」

アクセルは得意気に言った。

「親友…？」

「ちゃんと記憶しておけ、俺たちは親友だ。」

いつもの口癖をあの仕草と共に言った。

「そっか……そうだよな。」

そのとき誰かの笑い声がした。二人とも慌ててシオンの方を見た。

「ありがとう、アクセル。」

アクセルはシオンにそう言われ頭を掻いてはにかんだ。

「もう大丈夫なのか？」

ロクサスの表情は明るかった。

「ちょっと目眩がしただけ、心配かけてごめんね。」

「あんまり驚かせんなよ。」

「うん。」

「今日はゆっくり休め。」

「わかった二人ともありがとう。」

　シオンは静かに眠りに落ちた。
　
　

*

色の無い部屋で同じ白のワンピースを着た少女はスケッチブックを手に取っていた。
　彼女が描いていたのは三人の絵。だが彼女の手は真ん中の黒髪の人物の顔を描こうとして止まった。
　手が止まってすぐ、ノックの音に顔を上げる。