あの日々に、あの３人に Ⅲ (ページ2)

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Day 173 嘘ページ2

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　アクセルはサイクスから聞いたというシオンの話をロクサスに伝える。
　
　今後の働き次第では出来損ないと言ったことを撤回してもいいと。
　しかしそれはロクサスを気遣ったアクセルの嘘だった。
　
　

*

　
「嘘をつくのは疲れるだろ？」

　ゼロがベッドに倒れ込んでいるアクセルに言った。その言葉はまるでその場に居合わせていたようだった。

「お前は疲れないだろうが普通は疲れるもんだ。気も引ける。」

「心、ないんじゃなかったのか？それに僕も疲れないわけじゃあない。」

「いやでもなあ、秘密や嘘は俺は苦手だな。」

　アクセルが頭を掻いた。ゼロは怪しく笑った。

「本性見せない君がか？笑っちゃうな。」

「は、秘密主義のお前にゃ言われたくないな。」

　アクセルが鼻で笑うとゼロが一緒に喉で笑った。

「秘密があるから嘘が真実に成れる、ってこった。」

「全くその通りだな。」

　ひとしきり笑って、二人とも暗い顔をする。

「なぁ、リア。僕はこのままでいいのかな」

「……なにいってんだ。いいも悪いも俺にきいたところで意味はないだろ？おまえの意思はおまえじゃないと変えられないんだろ？誰だ？昔そういってたやつは。」

「あはは、そうだった、そうだった。君ってほんとよく覚えてるよなぁ。口癖があれだから当然っちゃ当然か……はぁ」

　力なく笑って、ため息をつく、こんなゼロを見たのはアクセルも随分と久しぶりだった。

　今にも涙がこぼれそうな顔をしているのに、唇を軽く噛んでいるのに、すごく脆く儚く見えるのに、今のゼロには悲しいという言葉は合わない気がした。

「……いきなり弱気になったと思ったら、そういうことか……」

　アクセルは昔のことを思い出して、立ち上がった。

「おまえ、強そうに見えて弱いよな。バカだな。崩れそうなくらいに辛いんなら誰かを頼れ」

　壁にもたれていたゼロの腕を引いて、抱き寄せた。
　しばらくまた沈黙が流れる。

お互いの体温が心地よいと感じ始めた頃、ゼロがもぞもぞと腕の中から顔をだしはにかむように笑う。

「はは、思ってくれる誰かがいるって幸せなことだね。キミが……キミたちが居てくれるなら僕はバカでもいいかな」

　不意な笑顔と言葉に、アクセルは驚きと歯がゆさ、そして形容しがたいもどかしさを感じた。