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「...はあ」
彼のことを考えたって、自分のものにはならない。そんなこと、分かってる。
でも、
でも、
思ってるだけなら、許してくれるでしょ?
「ん、いのちゃんお風呂ありがとー」
「好きだよ、大ちゃん」
......あっ。
「...え?」
「あ、いや、その、ちがくて、その...」
「...なにが違うの?」
「えっ、と、あの」
「別に、いのちゃんが俺のこと本気で思ってくれてるなら嬉しいし、その気持ちにはできるだけ応えたいよ。...でも、俺には彼女がいる。知ってるでしょ?俺は彼女の気持ちも裏切れない。それに、」
「...もういい」
「...へ?」
「もういいよ、大ちゃん。俺のこと庇ってくれなくても。...だから、だから俺のこと抱いてよ。今夜だけでいい。今夜そうしてくれたら、もうこんなこと言わない。大ちゃんに迷惑掛けない。縁切られてもいい」
「...縁切るわけない、」
静かな部屋に、淋しげなリップ音が響いた。
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作者名:れん | 作者ホームページ:https://twitter.com/ren_arinbl
作成日時:2018年12月29日 17時