食べさせてあげる ページ5
魚をほぐして、智の口へ運ぶニノ。
ニノ「はい、あーん」
ぱくりと智の小さな口が動く。
智「・・・んまい」
ニノ「うん。ﾝﾌﾌ」
嬉しそうな智につられ、ニノの笑みがこぼれる。
全体の1/3ほど食べると、満腹になった様子の智。
智「おなかいっぱい。ありがと。ﾌﾌ」
ニノ「ちょっと休もっか。俺、これ持ってくね」
智「あ、ごめん、あぃがと」
ニノ「いーのいーの、ついでだし。じゃ、また適当に来るね」
今日は具合良くなさそうだな・・・。
と思いつつ、トレーを戻し、自分のベットに戻る。
何度も寝返りをうち、どうしても智のことが気になる。
ニノ「やっぱ行こ・・・」
また来た道を戻り、508号室を開けるニノ。
ニノ「さとしぃ〜？寝てる・・・？」
智「・・・・・・」
返事がない。ベッドに近づく。
ニノ「だいじょぶ・・・？」
こちらを背にして横になっている智に声をかける。
智「・・・・・ｳｯ・・ｳｩｯ・・・ﾊｧﾊｧ・・・」
小さくうめく声。
ニノ「え！苦しいの？！智っ？痛い？」
顔を覗き込む。
額に汗をかいてｷﾞｭｯと目をつぶり、垂れた眉をしかめている智。
慌ててナースコールを押すニノ。
智「・・・ﾊｧ・・・」
ニノ「吐き気あるの？」
首をふる智。
少しでも楽になるように背中を擦ると
骨がわかるくらいｶﾞﾘｶﾞﾘに痩せているのがわかる。
智「ｳｩｯ・・・ﾊｧｯﾊｧｯ」
布団を握りしめ、苦しむ智。
ニノが智のこんな姿を見るのは初めてだった。
今までもこんな風に一人で耐えていたのだろうか。それとも初めてなんだろうか。
ニノ「智、もう来るからっ大丈夫だからねっ」
苦しむ智を必死に励ます。
そこへ、看護師がやってきた。
ﾊﾞﾀﾊﾞﾀと処置が始まる。
あっという間に酸素マスクをつけられた智。
額からは玉のような汗が流れる。
処置が終わるまで、ニノは離れたところで突っ立っていた。
そして看護師が出ていくと、すぐに智の手を握る。
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作者名：天の子 | 作成日時：2019年7月14日 14時
