さとしのこと（気象系病系） (ページ20)

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緊急事態ページ20

注射が終わり、ニノの部屋から出ていく看護師。

ニノ「よし、智んとこ行こ」

しばらく注射されたところを押さえて、ベッドを出る。

サンダルを履き、ｿﾛｯと扉を開けて誰もいないことを確認する。

ﾍﾟｯﾀﾗﾍﾟｯﾀﾗと廊下を進み、智の部屋に来た。

ニノ「ねてっかなぁ・・・」

ﾎﾟﾘﾎﾟﾘと寝癖の頭をかく。

ｶﾗｶﾗ

ニノ「さ～とし
あれ？いない・・・？」

空のベッド。

ｷｮﾛｷｮﾛと周りを見渡すが、智の姿が見当たらない。

ニノ「どこ行ったんだろ？トイレかな・・・」

椅子に座り、しばらく待つことにする。

ニノ「ん？」

枕にニノの目が釘付けになる。

ニノ「血・・・？」

数滴の血痕が付いている智の枕。

よく見ると、所々に血のついたティッシュが散乱していた。

ニノ「智っ」

廊下に出て床をよく見ると、微かな血の跡がトイレの方向へ続いていた。

トイレへ急ぐ。

ｼﾞｬｰと水の流れる音。

そこに、黒いシャツを着て両足の裏をﾍﾟﾀﾝと床につき、
膝を抱えてうずくまっている小さな背中があった。

ﾎﾜﾎﾜの茶色い髪が、智だと教えてくれる。

ニノ「智！」

しゃがみこみ、様子を伺う。

智は左手で洗面所の縁をつかみ、右手で口元を覆っていた。

Tシャツから覗く右の肘からは血がしたたっている。

ニノ「っどーしたのっ智！」

慌ててトイレに付いている緊急時ブザーを鳴らす。