発作 ページ12
智「ﾝｳｩｯ・・・ﾊｧ・・・ﾊｧ・・・」
智の体をさする。
智「ｯｲｯ・・・」
突然、ニノの手を握る智の手に力が込められる。
ニノ「智？さと・・・」
もう片方の手で、胸の辺りをｷﾞｭｯと握りしめている智。
まさかの発作かと焦る。
ニノ「智？息できる？智？！」
智「ﾊｧｯﾊｧｯﾊｧｯ・・・ｯｳ・・」
慌ててナースコールを押す。
ニノ「智！！」
智「ｳｩｯ・・ﾊｧｯﾊｧｯﾊｧｯﾊｧｯ・・・ｳｯ・・・ｲｯ・・ｲｯﾀ・・・ッ
ﾊｧｯﾊｧｯﾊｧｯﾊｧｯ」
ニノ「早くっ早く来て！！」
智の異常な苦しみように、思わず大声が出る。
ニノ「智っ智ぃ！！ やだ・・・智、やだよ・・・！！」
ストレッチャーで運ばれていく智。
まさか手術するのか、あれ以上胸の傷が増えるのかと落ち込むニノ。
智がいなくなった508号室・・・
ただただ空っぽのベットの前で立ち尽くす。
カシャーン
何かの音が外から聞こえ、ﾊｯとして、廊下に出ると、
少し向こうで、誰かがうずくまっていた。
ニノ「だ、大丈夫ですか？」
慌てて駆け寄る。
青年「あ、大丈夫・・・です、・・・」
顔を上げたその人は。
いつも庭にいるあの青年だった。
青年「ありがとう。」
ニノ「いや、ホントに大丈夫？ほら、捕まって。」
落ちていた杖を持ち、肩に彼の腕を回し、立ち上がらせる。
青年「ｲﾃﾃﾃﾃｯ」
ニノ「えっどっか打った？」
青年「足が・・・ｯ」
重力に逆らえず、２人でしゃがみこむ。
青年「ごめ・・」
ニノ「ここで待ってて。」
小走りでナースステーションへ向かい、看護師を連れてくる。
看「櫻井さんっ」
櫻井と呼ばれた青年は、やはり立ち上がれないようだった。
看「今、車椅子お持ちしますね。」
ニノ「大丈夫？足、痛いの？」
青年に声をかける。
青年「急にっ、ｳｯ、痛み出しちゃって・・・」
相当痛むのか、倒れ込み、顔を歪ませて足をさする青年。
しかし、イケメンだ。と、不謹慎にも思う。
看「乗れる？」
看護師が車椅子を持ってきて、青年を支える。
手伝うニノ。
無事に何とか車椅子に乗れた青年。
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作者名：天の子 | 作成日時：2019年7月14日 14時
